Wills それぞれのリアル to 戦略コンサル “想い”への自信 VOICE Tさん 自動車メーカー/開発職 ▶ 戦略コンサル/コンサルタント INTRO 大学院卒業後、大手自動車メーカーにて自社製品の開発・プロジェクトマネジメントに従事。複数部署の要件を集約し、完成車の最適設計に向けた全体を統括するポジションでご活躍された後、性能計画の部署に異動。全体を俯瞰的に見る立場から一性能を扱う部署にて、車両のノイズキャンセリングシステムを担当。 ものづくりの上流と手触り感のある下流でのそれぞれの経験を通じて感じた想いから転職を決意するも、決断を前にしても晴れないモヤモヤ。キャリアにおける転職という大きなご決断に、そっと寄り添い、支えることで次なる一歩への自信を共に創らせて頂いたエピソードのご紹介です。 好きなことと、できること 車と、ものづくりへの想い ファーストキャリアで、大手自動車メーカーの開発職を選択したTさん。初めての仕事選びで大切にしたことはなんだったのでしょうか。 「大学では、芸術工学部の音響設計学科で“音”についての研究をしていました。音について人が感じる現象を、定量的・物理的に捉えていくというものです。元々音楽が好きだったこともあり、コンサートホールの音響設計等に携われたら、と入学前には考えていました。ただ、大学院も含めて6年間学ぶ中で、前述した領域は周囲の友人が皆揃って興味を抱いているものでもありました。また、既に世の中には優れたコンサートホールが多くあると感じていたので、そこに自分が介在していくおもしろみや興味を持ち切れませんでした。」 「結果的に、自分自身の“好きなこと”と、できること・携わりたいことである“ものづくり”を実現できる道として、自動車業界への就職を目指すことにしました。最終的に入社した前職は、選考を受けた企業の中で最も社員の方の親近感があったことが決め手でした。一緒に働く方がどんな方なのか、ということも大切にしていたように感じます。」(Tさん) ご自身の“好きなこと”、そしてものづくりという“貢献ができること”からファーストキャリアを選択されたTさん。入社後は、複数部署の要件を集約し、完成車の最適設計に向けた全体を統括する部署に配属されることになります。 「入社後は、車両計画全体を統括するグループに配属されました。特定の部品を持たない組織で、車両全体を競合車との比較や企画部署との擦り合わせ等を通じてコスト・デザイン・性能全体から統括していくような部署です。開発部署の中でも、全体を統括するプロジェクトマネジメントのような役割でしたので業務は非常に多岐にわたりましたが、ものづくりを上流の部分から俯瞰的に考えていける仕事に大きなやりがいを感じていました。」(Tさん) いわゆる花形のポジションで活躍をされていたTさん。一方で、あるプロジェクトをきっかけに一度ご転職を考えたことがあったそうです。 一度目の転職活動 「部署には計4年間在籍をしていたのですが、4年目にあるプロジェクトが大きな節目を迎えるタイミングがあったんです。ただ、そのタイミングで上司の休職や、別プロジェクトにより長期的な海外出張で不在になる方がいる等、自分自身の負担が急激に増えてしまったんです。もちろん、周囲からの助けもいただけたのですが、精神的にも体力的にもしんどさを感じたことも事実でした。」 「業務自体のやりがいはすごく感じていたのですが、同時にそれに見合った評価・給与をいただきたいなとも感じたんです。そこで、いわゆる”キャリアアップ”を目指した転職を検討し始めました。実際に転職エージェントさんにも相談をし、求人のご紹介を受けて面接も受けていましたね。」(Tさん) 目に見える形での給与アップを主な目的として転職活動を始めたTさん。一方で、引き続き”自動車業界に携わっていきたい”という想いはお持ちだったといいます。 「業務内容や自動車という商材には引き続き関わり続けたいという気持ちがありました。業界に携わりながら目の前の年収を上げていくという意味で、コンサルティング業界や商社をイメージしていました。ただ、商社に関しては自分のパーソナリティや働き方から合わないのではないかと感じていたので、基本的にはコンサルティング業界で選考を受けていくことにしました。」 「また、車両計画では全体を俯瞰的に捉えた上でプロジェクトマネジメント的な働き方をしていましたが、商品企画や収益計画に踏み込んでいく等、ものづくりにおける企画・事業観点の経験をより深く・広く経験したいとも感じていました。そんな考えもあり、コンサルティング業界は比較的イメージがしやすかったこともありました。」 「実際にエージェントさんに相談をした際にも、おすすめされたのはコンサルティング業界でした。自分自身が希望していたこともあり、非常にスムーズな流れで活動は進んでいきました。求人の紹介を頂き、書類選考、面接対策をして面接に臨むといった、一般的な形で活動が進んでいきましたね。」(Tさん) 転職において目指す方向性とその目的が明確だったこともあり、活動もスムーズに進んでいたTさんですが、初めての転職活動は現職への残留を決めたことにより終わりを迎えることになります。 「最終的に、前職で次年度の昇給が決まったことで変えたいと思っていた給与面が改善されたこともあり、転職活動を中断することにしました。本格的な活動に移る前ではありましたが、決断をした形になりました。」(Tさん) こうして、前職に残ることを一度はご決断されたTさん。しかし、その後の部署異動を経て感じた想いをきっかけに、再度転職活動を行われることになります。 経験と想いが重なり 見えた道 「4年間車両計画を経験したタイミングで、車両のノイズキャンセリングシステムを担当する部署に異動することになりました。異動自体は、自分で手を挙げて実現したものでした。元々大学時代、音に関する研究をしていたこともあり、より活躍できるフィールドとして3年目頃から希望をしていたのですが、それが実現した形です。全体を統括する立場から、一性能を扱う立場にポジションを変えたことでものづくりの下流を経験することができました。手触り感のある仕事の中で、それまでとは違うやりがいを感じていましたね。」(Tさん) ご自身の知見やバックグラウンドを活かし、より活躍できるフィールドに社内でポジションを変えていったTさん。しかし、やりがいを感じる一方で、ご自身が好きな車・ものづくりに対しての想いと現実のギャップから改めて出てきた想いがあったといいます。 「やりがいを感じる一方で、徐々に違和感や疑問を感じるようにもなっていました。担当していたのは車両の静粛性に関する改善を突き詰めていくというものでしたが、プロジェクト全体で何が行っているのかが見えにくくなっている感覚がありました。“より良い車をつくる”ということに繋がっている仕事であることは間違いなかったのですが、時代に合わせて車の価値が変容・多様化する中で、静粛性をより良くすることが本質的な価値に繋がるのかという疑問を感じるようになっていたんです。車という自分が好きなものに対して、果たして今の仕事が本当に貢献できているのかどうか。この頃から、一度目の転職活動の時に感じていた、より俯瞰的な立場から全体を見て車・ものづくりに関わっていきたいという想いが強くなっていきました。」 「また、働く環境と経験できること、車・ものづくりに対して貢献できる範囲等、全体的に頭打ち感を感じていました。前職は組織文化的に縦割りなところがあり、良くも悪くも”各部署が、それぞれやるべきことをやる”という雰囲気・実態がありました。もちろん、大きな組織の中で円滑に物事を進めていく上で縦割りであることは決してネガティブな要素だけではないですが、結果的に各部署間に“壁”のようなものがあったのも事実でした。こうした状況もあり、様々な部署に異動してそれぞれでの経験を積むというキャリアよりも、業界・会社の外から、客観的な立場で提案・貢献をしたいと考えるようになっていきました。」(Tさん) ふたつの異なる立場を、同じ環境の中で経験したこと。元々持っていた、車・ものづくりに対する想い。経験と想いが重なり、Tさんは二度目の転職活動をされることになります。 想いへの自信が持てず、 止めた歩み 「改めて転職活動をすることを決意し、コンサルティング業界特化型のエージェントさんに相談をさせて頂きました。一度目の転職活動の経験から、ある程度業界の方向性は自分の中でも絞ることができていたので、相談まではスムーズだったと思います。」 「”自動車業界に引き続き携わりたい”ということを伝えた上で、戦略系、外資、ベンチャーまで幅広く求人をご紹介頂きました。自動車業界向けはもちろん、広く製造領域を戦略系~ITまで、とにかく幅広く提案を受けた形でした。」(Tさん) 二度目の転職活動をスタートしたTさん。スムーズに活動がスタートした一方で、ご自身の中でモヤモヤした部分も同時にあったといいます。 「求人を30件程紹介頂き、ありがたいなと感じる一方で選択肢が多く自分に適したものがわからない部分もありました。また、目指す方向性としてコンサルティングの中でも漠然と戦略系に行きたいという想いはあったのですが、自分自身はそこにチャレンジできるスキルや経験がまだないとも感じていました。そんな状況もあり、ご紹介頂いた中からエージェントさんのおすすめという形で戦略系以外の4社で選考を受けていくことになりました。」 「4社とも、書類選考は通過することができ面接に進んだのですが、選考は受けているのにぼんやりとした感覚はなかなか晴れていませんでした。受けていた企業がイメージしていた戦略系ではなく、比較的ITに寄ったコンサルだったこともあると思います。進みたい方向はあるけどそれが自分にできるのかという気持ちと、受けている企業は自分が思っている方向に進んでいるのかという二つの気持ちの中で揺れていたんだと思います。」 「転職をこの状態のまましていいのかという気持ちもあったのですが、一方で動かないと何も始まらないとも感じていました。実際の選考を通じて明確にできる部分もあると思い、まずは面接に向けてエージェントさんからのご支援も頂きながら進めていた形でしたね。」(Tさん) ご自身の想いに対する自信を持ち切れず、悩みながらも活動を進めていたTさん。選考を通じてモヤモヤが解消されることを期待しながら進めていった活動の先にあったものは何だったのでしょうか。 「4社の面接を受けたのですが、自分の中にあるモヤモヤが晴れている感覚は結果的に持つことができませんでした。また、選考自体もなかなかうまくいかず内定を掴むこともできませんでした。各社理由は様々でしたが、やはり経験ベースでのお見送りが多かったこともあり”転職自体、まだ早いのかもしれない” ”受けている領域自体が違うのかもしれない”という不安が、当時はすごく大きかったことを覚えています。」 「選考を受けていた企業全てがお見送りになったタイミングで、エージェントさんから改めて別の会社を薦めて頂きました。ご紹介頂いた求人は、お見送りになった企業からのフィードバックをベースに”コンサルティング業界へのファーストステップを踏む”という意味合いのものが多かったのですが、自分としてはあまり腑に落ちていない部分がありました。だんだん、転職すること自体が目的になってきているのではないかと。ただ、選考自体はまずは受けてみようと思い進めた結果、最終面接へ進むことができました。」 「最終面接ということもあり、だんだんと内定という結果が目の前に近づいていること、それに伴う決断が迫っている感覚がありました。ただ、依然として自分の中では目の前にある選択肢に対しての確信が持てていない状態でした。”一旦、このまま進めてもいいのかな”という気持ちと、”これで本当にいいのか”という不安の双方が混在している状態でした。」(Tさん) 目の前に見える、結果と決断。そして、ご自身の中にある想い。Tさんがキャリコムに相談を頂いたのは、最終面接を目前に控えたタイミングでのことでした。 同じ選択肢と、 変わった見え方。 「最終面接を前に、自分自身のキャリアをもう少し中長期で見たときに今回の選択をどうすべきなのかをしっかりと考えたいと思うようになっていました。目先の転職や業界・職種といった要素を一旦思考の外に置いて、自分が”なりたい姿”や”やりたいこと”を考える機会をつくりたいと感じたんです。振り返ると、手段や選択肢といった目に見えるものだけを追いかけていたようにも感じました。改めて、自分自身に矢印を向けてみようと思ったんです。そんなときにキャリコムさんからメッセージを頂き、相談することを決めました。」(Tさん) 転職活動の終盤で、自分自身の想いと向き合うことを決めたTさん。キャリコムとの面談の中で感じたことは何だったのでしょうか。 「キャリコムさんからは、初回の面談に向けてワークシートの作成を依頼頂きました。ワークシートは、自分自身が実現したい未来での在り方を得意なこと・苦手なことをベースにしながら考えていくというものでした。いわゆる“転職”という手段にフォーカスしたものではなく、今の自分を整理・知ることで、そこから未来を丁寧に考えていくようなイメージでした。」 「作成したワークシートとお打ち合わせを通して見えてきたのは、【どんな課題に対しても道筋を立てられるようになりたい】というキャリアにおける自分自身の在りたい姿でした。また、前職での経験から“分析をした上で自分自身のメッセージを発信したい”ということや、“あまりにも多くの人と関わり、多様な意見・立場に挟まれるとストレスを感じる”といったことも見えてきました。」 「お打ち合わせ内では、キャリコムさんから突っ込みや深堀があったというより、常に自分の想いを丁寧に引き出していただき、受容をしてもらった感覚がありました。想いをすり合わせ、共有していくような感覚の中で、キャリコムさんから“Tさんの目指している方向性は、間違っていないと思うし、歩むべき道だと思いますよ”と言って頂けたことは、大きな自信になったことを覚えています。」(Tさん) 転職という目に見える手段ではなく、ご自身の中にある想いに目を向け、それを言語化されたTさん。また、前述した叶えたいと思われている方向性についても、お打ち合わせを通して見え方が変わった部分があったといいます。 「コンサルティング業界が目指す方向性として相違ないと言って頂いた一方で、”その中でもどの領域を目指すのかということを、あまり深く考えずに選びすぎな部分があるかもしれない”とご指摘を頂きました。やりたいこととしてはコンサルティングの中でもより上流の部分、具体的には戦略系であるにも関わらず、できる・できないの判断でそこを見ることができていないのは違うのではないかと。自分自身の評価を主観的に判断するのではなく、やりたいと思っている領域をしっかりと見ませんかというご提案でした。これを言われたときに、自分の中でハッとする思いがありましたね。」 「そこから、キャリコムさんに具体的な求人を4社ご紹介頂き、二回目のお打ち合わせで内容のすり合わせをしました。この4社は、実は最初にご相談をしたエージェントさんからのご紹介にも入っていた求人でした。ただ、当時は興味がありつつも“できる・できない”の軸で考えたときに自分には難しいと感じていたこともあり、あまり興味を持つことはなかった求人でした。」(Tさん) 一度過去に見た求人に対して、ご自身の想いを整理した上で改めて向き合うことになったTさん。結果的に、キャリコムからのご紹介求人に対して選考を受けていくことになられますが、過去できなかったチャレンジが、なぜその時にできたのでしょうか。 「自分の中でやりたいことが明確になっていたことはもちろんですが、キャリコムさんからの後押しがあったこともあり4社の選考を受けることに決めました。各求人に対して、できる・できないの軸から主観的に難易度や求人のグレードのようなものを判断していたのですが“ご自身のやりたいことやできることと、企業側の求めていることのマッチングが大切”とキャリコムさんから言われて、チャレンジをしてみようと。自分の中で、ようやく想いと行動が重なった瞬間になりました。」(Tさん) 踏み出す一歩への、 確かな自信。 ご自身の在りたい姿と、歩むべき道への自信を持ち選考に臨まれたTさん。 「それまでは、どこかモヤモヤした気持ちと不安の中で選考を受けていたと今振り返ると感じています。キャリコムさんとのお打ち合わせを通じて“この方向性で良いんだ”という自信を持って面接に臨むことができるようになってからは、これまでの面接では感じることができなかった手ごたえを感じるようになっていました。」 「例えば、“転職理由”という面接の中で必ず来るような問いにおいても、きちんと相手にその意図や背景、目的がきちんと伝わっているという実感を持つことができるようになっていました。実際に伝えている内容自体は大きくそれまでの選考と変わっていたわけではないのですが、やはり自分自身が心から思っていることを、自信を持って伝えられているかどうかという点において大きな違いがあったんだと思います。また、そうした中で、前述したキャリコムさんから頂いた“企業のグレードが上・下なのではなく、相手が求めていることとマッチしているかどうか”ということが大切なんだということも実感しました。」(Tさん) ご自身の想いを伝えることに、確かな自信を持ち選考を進めていかれたTさん。最終的に、4社選考を受けた中で、最も志望度が高い企業からの内定を掴まれることになりました。 ご自身の進むべき道、目指したいという想いに対して、一度は立ち止まりながらも掴んだこれからのキャリア。転職活動を終えて新たな一歩を踏み出されたTさんが、今想うこととは。 「車、そしてモノづくり業界をよりよくしたい。自分自身が好きなモノ・コトに対して、【どんな課題に対しても道筋を立てられるようになりたい】という想いが実現できる環境が、これからのキャリアで描いていけるのではないかと感じています。」 「転職活動、キャリコムさんからのご支援を通じて感じたことは“自分自身の経験を言語化・整理すること”の大切さです。そのときに、自分だけの考えや日常で関わる範囲だけの思考・意見にとどまらず、客観的な視点を持った上で言語化し、自分自身の強み・弱みややりたいことを整理することが重要だと感じました。また、私にとってはそれがキャリコムさんであって良かったと感じています。常にキャリアに対して、職種や業界といった目に見える要素だけでなく、“私自身”をフラットにみてくださり、そっと寄り添い自信を与えて頂きました。信頼できると思った方からの一言に、踏み出す一歩への自信をいただいたと感じています。」(Tさん) 自分自身の想いへの自信。Tさんは、ご自身が実現したい未来に向け、確かな一歩を踏み出されていました。 インタビュー/執筆:若林 捷(@waka_sh0 | Instagram) PREV 一覧に戻る NEXT
自動車メーカー/開発職 ▶ 戦略コンサル/コンサルタント
INTRO
大学院卒業後、大手自動車メーカーにて自社製品の開発・プロジェクトマネジメントに従事。複数部署の要件を集約し、完成車の最適設計に向けた全体を統括するポジションでご活躍された後、性能計画の部署に異動。全体を俯瞰的に見る立場から一性能を扱う部署にて、車両のノイズキャンセリングシステムを担当。
ものづくりの上流と手触り感のある下流でのそれぞれの経験を通じて感じた想いから転職を決意するも、決断を前にしても晴れないモヤモヤ。キャリアにおける転職という大きなご決断に、そっと寄り添い、支えることで次なる一歩への自信を共に創らせて頂いたエピソードのご紹介です。
好きなことと、できること
車と、ものづくりへの想い
ファーストキャリアで、大手自動車メーカーの開発職を選択したTさん。初めての仕事選びで大切にしたことはなんだったのでしょうか。
「大学では、芸術工学部の音響設計学科で“音”についての研究をしていました。音について人が感じる現象を、定量的・物理的に捉えていくというものです。元々音楽が好きだったこともあり、コンサートホールの音響設計等に携われたら、と入学前には考えていました。ただ、大学院も含めて6年間学ぶ中で、前述した領域は周囲の友人が皆揃って興味を抱いているものでもありました。また、既に世の中には優れたコンサートホールが多くあると感じていたので、そこに自分が介在していくおもしろみや興味を持ち切れませんでした。」
「結果的に、自分自身の“好きなこと”と、できること・携わりたいことである“ものづくり”を実現できる道として、自動車業界への就職を目指すことにしました。最終的に入社した前職は、選考を受けた企業の中で最も社員の方の親近感があったことが決め手でした。一緒に働く方がどんな方なのか、ということも大切にしていたように感じます。」(Tさん)
ご自身の“好きなこと”、そしてものづくりという“貢献ができること”からファーストキャリアを選択されたTさん。入社後は、複数部署の要件を集約し、完成車の最適設計に向けた全体を統括する部署に配属されることになります。
「入社後は、車両計画全体を統括するグループに配属されました。特定の部品を持たない組織で、車両全体を競合車との比較や企画部署との擦り合わせ等を通じてコスト・デザイン・性能全体から統括していくような部署です。開発部署の中でも、全体を統括するプロジェクトマネジメントのような役割でしたので業務は非常に多岐にわたりましたが、ものづくりを上流の部分から俯瞰的に考えていける仕事に大きなやりがいを感じていました。」(Tさん)
いわゆる花形のポジションで活躍をされていたTさん。一方で、あるプロジェクトをきっかけに一度ご転職を考えたことがあったそうです。
一度目の転職活動
「部署には計4年間在籍をしていたのですが、4年目にあるプロジェクトが大きな節目を迎えるタイミングがあったんです。ただ、そのタイミングで上司の休職や、別プロジェクトにより長期的な海外出張で不在になる方がいる等、自分自身の負担が急激に増えてしまったんです。もちろん、周囲からの助けもいただけたのですが、精神的にも体力的にもしんどさを感じたことも事実でした。」
「業務自体のやりがいはすごく感じていたのですが、同時にそれに見合った評価・給与をいただきたいなとも感じたんです。そこで、いわゆる”キャリアアップ”を目指した転職を検討し始めました。実際に転職エージェントさんにも相談をし、求人のご紹介を受けて面接も受けていましたね。」(Tさん)
目に見える形での給与アップを主な目的として転職活動を始めたTさん。一方で、引き続き”自動車業界に携わっていきたい”という想いはお持ちだったといいます。
「業務内容や自動車という商材には引き続き関わり続けたいという気持ちがありました。業界に携わりながら目の前の年収を上げていくという意味で、コンサルティング業界や商社をイメージしていました。ただ、商社に関しては自分のパーソナリティや働き方から合わないのではないかと感じていたので、基本的にはコンサルティング業界で選考を受けていくことにしました。」
「また、車両計画では全体を俯瞰的に捉えた上でプロジェクトマネジメント的な働き方をしていましたが、商品企画や収益計画に踏み込んでいく等、ものづくりにおける企画・事業観点の経験をより深く・広く経験したいとも感じていました。そんな考えもあり、コンサルティング業界は比較的イメージがしやすかったこともありました。」
「実際にエージェントさんに相談をした際にも、おすすめされたのはコンサルティング業界でした。自分自身が希望していたこともあり、非常にスムーズな流れで活動は進んでいきました。求人の紹介を頂き、書類選考、面接対策をして面接に臨むといった、一般的な形で活動が進んでいきましたね。」(Tさん)
転職において目指す方向性とその目的が明確だったこともあり、活動もスムーズに進んでいたTさんですが、初めての転職活動は現職への残留を決めたことにより終わりを迎えることになります。
「最終的に、前職で次年度の昇給が決まったことで変えたいと思っていた給与面が改善されたこともあり、転職活動を中断することにしました。本格的な活動に移る前ではありましたが、決断をした形になりました。」(Tさん)
こうして、前職に残ることを一度はご決断されたTさん。しかし、その後の部署異動を経て感じた想いをきっかけに、再度転職活動を行われることになります。
経験と想いが重なり
見えた道
「4年間車両計画を経験したタイミングで、車両のノイズキャンセリングシステムを担当する部署に異動することになりました。異動自体は、自分で手を挙げて実現したものでした。元々大学時代、音に関する研究をしていたこともあり、より活躍できるフィールドとして3年目頃から希望をしていたのですが、それが実現した形です。全体を統括する立場から、一性能を扱う立場にポジションを変えたことでものづくりの下流を経験することができました。手触り感のある仕事の中で、それまでとは違うやりがいを感じていましたね。」(Tさん)
ご自身の知見やバックグラウンドを活かし、より活躍できるフィールドに社内でポジションを変えていったTさん。しかし、やりがいを感じる一方で、ご自身が好きな車・ものづくりに対しての想いと現実のギャップから改めて出てきた想いがあったといいます。
「やりがいを感じる一方で、徐々に違和感や疑問を感じるようにもなっていました。担当していたのは車両の静粛性に関する改善を突き詰めていくというものでしたが、プロジェクト全体で何が行っているのかが見えにくくなっている感覚がありました。“より良い車をつくる”ということに繋がっている仕事であることは間違いなかったのですが、時代に合わせて車の価値が変容・多様化する中で、静粛性をより良くすることが本質的な価値に繋がるのかという疑問を感じるようになっていたんです。車という自分が好きなものに対して、果たして今の仕事が本当に貢献できているのかどうか。この頃から、一度目の転職活動の時に感じていた、より俯瞰的な立場から全体を見て車・ものづくりに関わっていきたいという想いが強くなっていきました。」
「また、働く環境と経験できること、車・ものづくりに対して貢献できる範囲等、全体的に頭打ち感を感じていました。前職は組織文化的に縦割りなところがあり、良くも悪くも”各部署が、それぞれやるべきことをやる”という雰囲気・実態がありました。もちろん、大きな組織の中で円滑に物事を進めていく上で縦割りであることは決してネガティブな要素だけではないですが、結果的に各部署間に“壁”のようなものがあったのも事実でした。こうした状況もあり、様々な部署に異動してそれぞれでの経験を積むというキャリアよりも、業界・会社の外から、客観的な立場で提案・貢献をしたいと考えるようになっていきました。」(Tさん)
ふたつの異なる立場を、同じ環境の中で経験したこと。元々持っていた、車・ものづくりに対する想い。経験と想いが重なり、Tさんは二度目の転職活動をされることになります。
想いへの自信が持てず、
止めた歩み
「改めて転職活動をすることを決意し、コンサルティング業界特化型のエージェントさんに相談をさせて頂きました。一度目の転職活動の経験から、ある程度業界の方向性は自分の中でも絞ることができていたので、相談まではスムーズだったと思います。」
「”自動車業界に引き続き携わりたい”ということを伝えた上で、戦略系、外資、ベンチャーまで幅広く求人をご紹介頂きました。自動車業界向けはもちろん、広く製造領域を戦略系~ITまで、とにかく幅広く提案を受けた形でした。」(Tさん)
二度目の転職活動をスタートしたTさん。スムーズに活動がスタートした一方で、ご自身の中でモヤモヤした部分も同時にあったといいます。
「求人を30件程紹介頂き、ありがたいなと感じる一方で選択肢が多く自分に適したものがわからない部分もありました。また、目指す方向性としてコンサルティングの中でも漠然と戦略系に行きたいという想いはあったのですが、自分自身はそこにチャレンジできるスキルや経験がまだないとも感じていました。そんな状況もあり、ご紹介頂いた中からエージェントさんのおすすめという形で戦略系以外の4社で選考を受けていくことになりました。」
「4社とも、書類選考は通過することができ面接に進んだのですが、選考は受けているのにぼんやりとした感覚はなかなか晴れていませんでした。受けていた企業がイメージしていた戦略系ではなく、比較的ITに寄ったコンサルだったこともあると思います。進みたい方向はあるけどそれが自分にできるのかという気持ちと、受けている企業は自分が思っている方向に進んでいるのかという二つの気持ちの中で揺れていたんだと思います。」
「転職をこの状態のまましていいのかという気持ちもあったのですが、一方で動かないと何も始まらないとも感じていました。実際の選考を通じて明確にできる部分もあると思い、まずは面接に向けてエージェントさんからのご支援も頂きながら進めていた形でしたね。」(Tさん)
ご自身の想いに対する自信を持ち切れず、悩みながらも活動を進めていたTさん。選考を通じてモヤモヤが解消されることを期待しながら進めていった活動の先にあったものは何だったのでしょうか。
「4社の面接を受けたのですが、自分の中にあるモヤモヤが晴れている感覚は結果的に持つことができませんでした。また、選考自体もなかなかうまくいかず内定を掴むこともできませんでした。各社理由は様々でしたが、やはり経験ベースでのお見送りが多かったこともあり”転職自体、まだ早いのかもしれない” ”受けている領域自体が違うのかもしれない”という不安が、当時はすごく大きかったことを覚えています。」
「選考を受けていた企業全てがお見送りになったタイミングで、エージェントさんから改めて別の会社を薦めて頂きました。ご紹介頂いた求人は、お見送りになった企業からのフィードバックをベースに”コンサルティング業界へのファーストステップを踏む”という意味合いのものが多かったのですが、自分としてはあまり腑に落ちていない部分がありました。だんだん、転職すること自体が目的になってきているのではないかと。ただ、選考自体はまずは受けてみようと思い進めた結果、最終面接へ進むことができました。」
「最終面接ということもあり、だんだんと内定という結果が目の前に近づいていること、それに伴う決断が迫っている感覚がありました。ただ、依然として自分の中では目の前にある選択肢に対しての確信が持てていない状態でした。”一旦、このまま進めてもいいのかな”という気持ちと、”これで本当にいいのか”という不安の双方が混在している状態でした。」(Tさん)
目の前に見える、結果と決断。そして、ご自身の中にある想い。Tさんがキャリコムに相談を頂いたのは、最終面接を目前に控えたタイミングでのことでした。
同じ選択肢と、
変わった見え方。
「最終面接を前に、自分自身のキャリアをもう少し中長期で見たときに今回の選択をどうすべきなのかをしっかりと考えたいと思うようになっていました。目先の転職や業界・職種といった要素を一旦思考の外に置いて、自分が”なりたい姿”や”やりたいこと”を考える機会をつくりたいと感じたんです。振り返ると、手段や選択肢といった目に見えるものだけを追いかけていたようにも感じました。改めて、自分自身に矢印を向けてみようと思ったんです。そんなときにキャリコムさんからメッセージを頂き、相談することを決めました。」(Tさん)
転職活動の終盤で、自分自身の想いと向き合うことを決めたTさん。キャリコムとの面談の中で感じたことは何だったのでしょうか。
「キャリコムさんからは、初回の面談に向けてワークシートの作成を依頼頂きました。ワークシートは、自分自身が実現したい未来での在り方を得意なこと・苦手なことをベースにしながら考えていくというものでした。いわゆる“転職”という手段にフォーカスしたものではなく、今の自分を整理・知ることで、そこから未来を丁寧に考えていくようなイメージでした。」
「作成したワークシートとお打ち合わせを通して見えてきたのは、【どんな課題に対しても道筋を立てられるようになりたい】というキャリアにおける自分自身の在りたい姿でした。また、前職での経験から“分析をした上で自分自身のメッセージを発信したい”ということや、“あまりにも多くの人と関わり、多様な意見・立場に挟まれるとストレスを感じる”といったことも見えてきました。」
「お打ち合わせ内では、キャリコムさんから突っ込みや深堀があったというより、常に自分の想いを丁寧に引き出していただき、受容をしてもらった感覚がありました。想いをすり合わせ、共有していくような感覚の中で、キャリコムさんから“Tさんの目指している方向性は、間違っていないと思うし、歩むべき道だと思いますよ”と言って頂けたことは、大きな自信になったことを覚えています。」(Tさん)
転職という目に見える手段ではなく、ご自身の中にある想いに目を向け、それを言語化されたTさん。また、前述した叶えたいと思われている方向性についても、お打ち合わせを通して見え方が変わった部分があったといいます。
「コンサルティング業界が目指す方向性として相違ないと言って頂いた一方で、”その中でもどの領域を目指すのかということを、あまり深く考えずに選びすぎな部分があるかもしれない”とご指摘を頂きました。やりたいこととしてはコンサルティングの中でもより上流の部分、具体的には戦略系であるにも関わらず、できる・できないの判断でそこを見ることができていないのは違うのではないかと。自分自身の評価を主観的に判断するのではなく、やりたいと思っている領域をしっかりと見ませんかというご提案でした。これを言われたときに、自分の中でハッとする思いがありましたね。」
「そこから、キャリコムさんに具体的な求人を4社ご紹介頂き、二回目のお打ち合わせで内容のすり合わせをしました。この4社は、実は最初にご相談をしたエージェントさんからのご紹介にも入っていた求人でした。ただ、当時は興味がありつつも“できる・できない”の軸で考えたときに自分には難しいと感じていたこともあり、あまり興味を持つことはなかった求人でした。」(Tさん)
一度過去に見た求人に対して、ご自身の想いを整理した上で改めて向き合うことになったTさん。結果的に、キャリコムからのご紹介求人に対して選考を受けていくことになられますが、過去できなかったチャレンジが、なぜその時にできたのでしょうか。
「自分の中でやりたいことが明確になっていたことはもちろんですが、キャリコムさんからの後押しがあったこともあり4社の選考を受けることに決めました。各求人に対して、できる・できないの軸から主観的に難易度や求人のグレードのようなものを判断していたのですが“ご自身のやりたいことやできることと、企業側の求めていることのマッチングが大切”とキャリコムさんから言われて、チャレンジをしてみようと。自分の中で、ようやく想いと行動が重なった瞬間になりました。」(Tさん)
踏み出す一歩への、
確かな自信。
ご自身の在りたい姿と、歩むべき道への自信を持ち選考に臨まれたTさん。
「それまでは、どこかモヤモヤした気持ちと不安の中で選考を受けていたと今振り返ると感じています。キャリコムさんとのお打ち合わせを通じて“この方向性で良いんだ”という自信を持って面接に臨むことができるようになってからは、これまでの面接では感じることができなかった手ごたえを感じるようになっていました。」
「例えば、“転職理由”という面接の中で必ず来るような問いにおいても、きちんと相手にその意図や背景、目的がきちんと伝わっているという実感を持つことができるようになっていました。実際に伝えている内容自体は大きくそれまでの選考と変わっていたわけではないのですが、やはり自分自身が心から思っていることを、自信を持って伝えられているかどうかという点において大きな違いがあったんだと思います。また、そうした中で、前述したキャリコムさんから頂いた“企業のグレードが上・下なのではなく、相手が求めていることとマッチしているかどうか”ということが大切なんだということも実感しました。」(Tさん)
ご自身の想いを伝えることに、確かな自信を持ち選考を進めていかれたTさん。最終的に、4社選考を受けた中で、最も志望度が高い企業からの内定を掴まれることになりました。
ご自身の進むべき道、目指したいという想いに対して、一度は立ち止まりながらも掴んだこれからのキャリア。転職活動を終えて新たな一歩を踏み出されたTさんが、今想うこととは。
「車、そしてモノづくり業界をよりよくしたい。自分自身が好きなモノ・コトに対して、【どんな課題に対しても道筋を立てられるようになりたい】という想いが実現できる環境が、これからのキャリアで描いていけるのではないかと感じています。」
「転職活動、キャリコムさんからのご支援を通じて感じたことは“自分自身の経験を言語化・整理すること”の大切さです。そのときに、自分だけの考えや日常で関わる範囲だけの思考・意見にとどまらず、客観的な視点を持った上で言語化し、自分自身の強み・弱みややりたいことを整理することが重要だと感じました。また、私にとってはそれがキャリコムさんであって良かったと感じています。常にキャリアに対して、職種や業界といった目に見える要素だけでなく、“私自身”をフラットにみてくださり、そっと寄り添い自信を与えて頂きました。信頼できると思った方からの一言に、踏み出す一歩への自信をいただいたと感じています。」(Tさん)
自分自身の想いへの自信。Tさんは、ご自身が実現したい未来に向け、確かな一歩を踏み出されていました。
インタビュー/執筆:若林 捷(@waka_sh0 | Instagram)