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それぞれのリアル
to 人材

自分だけの、道をつくる。

VOICE Hさん
金融/コンサルタント ▶ 人材紹介/キャリアコンサルタント

INTRO

大学卒業後、海外留学を経て第二新卒で金融業界へと就職。投資信託を扱う企業にて、法人・個人に対する確定拠出型年金のコンサルタントとしてキャリアを歩まれます。その後、節目である30歳を前に、よりご自身の強みを活かせる働き方を目指し、転職を決意。
当初は現職からの「変えたいこと」を起点にした転職を考えていましたが、キャリコムとの出会いをきっかけに「やりたいこと」にも目を向けた活動を開始。約2か月間のセッションを終えた後、最終的にはキャリコムからのご紹介ではなくご自身での直接応募から転職を実現されました。
ご自身の想いと向き合った先にあった“変わったこと”と“変わらなかったこと”。転職活動を通じて感じた、【スタートで立ち止まること】の意味。エージェントとしての意義を改めて感じさせて頂いた、H様のストーリーをご紹介します。
 

好きだった働き方
変えたかった業界

多くの人が通る新卒での就職活動ですが、Hさんはご自身の想いから在学中の就職活動という道はご選択されませんでした。

「大学時代、部活動でライフセービングをしており日本代表にも選出されていたことから、在学中は活動に集中したい想いがありました。同時に、高校時代から思い描いていたアメリカ留学への想いもあったのですが、代表での活動もあり在学中での実現は難しかったんです。そのため、いわゆる新卒での就職活動というものは行わず、卒業後の留学という選択肢を取ることにしたんです。」

「留学は、まず半年という期間を想定していました。留学した先に、そのまま向こうの大学に入るのか、日本で就職をするのか。実際に海外に行ってみた上で、どちらかを選択したいと考えていたんです。」(Hさん)

半年後、Hさんは第二新卒の枠での就職を決断。第二新卒ということもあり、チャレンジできる選択肢はそう多くなかったといいます。

「第二新卒での就職は、想像以上に大変でした。まず、希望したい会社の選考が“新卒でないと受け入れない“といったケースも多く、採用自体がクローズしていることがほとんどでした。自分自身、成長のために留学をし、日本ではできない経験を経て帰ってきたはずなのに、スタートラインにも立たせてもらえないことに、疑問を感じていました。」(Hさん)

選択肢が限られる中で就職活動を行ったHさん。最終的には投資信託を扱う金融会社にて、確定拠出型年金のコンサルタントとしてキャリアをスタートされることに。
経営者を中心に“人”と関わる働き方に大きなやりがいを感じながらも、30歳という節目を前に転職を考えるようになったそうです。

「第二新卒での就職ということもあり、元々いた金融業界というフィールド自体は“流れ着いた場所”という感覚がありました。コンサルタントとして経営者様や個人の方と相対し、提案・課題解決に携われる働き方にはやりがいを感じる一方で、お金や数字を扱う金融業界に対しては“合っていない”と感じていました。キャリアを形成していく中で、興味が持ちづらかったり、心から好きだと思えないフィールドで働くことは自分には難しいと感じていました。そんな背景もあり、“業界を変えるなら、30歳になる前には転職しなくては”と感じ、転職活動をすることにしたんです。」(Hさん)

職種、働き方、業界、勤務形態...仕事を形成する様々な要素の中で、Hさんは“業界”という、ご自身が身を置かれるフィールドという観点から転職を決意され、キャリアチェンジに向けて歩みを進まれることになります。
 

見えなかった選択肢

転職活動を始めた際、Hさんの中には明確な2つの軸がありました。それは、“現職から変えたいこと”を起点にされたものだったそうです。

「当初明確に自分の中で決まっていたことは【①インセンティブ制度があること②外資系企業であること】という2つの条件でした。どちらも前職で仕事をする中で“変えたい”と思っていたことから導き出された条件でした。数字が求められる仕事の中で、やはり成果に見合った評価・報酬を受け取りたいという気持ちと、英語という自分自身の強みが活かせるフィールドに身を置きたいという想いがあったんです。」(Hさん)

転職における明確な条件を持たれていたHさん。一方で、具体的にやるべき行動についてはなかなかイメージがわかない部分もあったそうです。

「明確に実現したい条件はあったのですが、逆に言うとそれ以外は何もなかったんです。“現状これが嫌だから、それを変えたい”という、ある種不満を起点としたものしかなかった。だから、具体的にどんな業界や企業を受けたらいいのかについて、イメージができない状態でした。」(Hさん)

具体的な条件面での希望はあるが、どれをどんな場所で実現するべきなのか悩まれていたHさん。まずは多くの方と同じく、転職サイトに登録をし、情報収集を始められます。そんな活動初期の段階で、Hさんとキャリコムのご縁が始まることになりました。

「転職サイトに登録し、多数のエージェントさんから連絡が来るようになりました。ですが、自分自身、エージェントさんに“お世話になる”という形で、すべてをご支援頂くような転職活動は想定していませんでした。“自分自身の軸をしっかりと決める”、ということにまずは重きを置きたかったんです。」

「そんな中で、キャリコムさんからメッセージが届きました。メッセージを見たときに、まさに自分が進めたい形でのご相談ができると感じました。“まだ何も決まっていない中でも、相談ができそうだな”という期待感があったんですよね。自分が置かれている状況に対して、一番マッチした形で相談ができそうだと感じ、面談をご依頼させて頂くことになりました。」(Hさん)

自分自身の道を決めるために、明確な軸を見つけたい。そんなHさんの想いと重なったキャリコムからのメッセージ。ここから、Hさんとキャリコムのご縁が始まり、約2か月間のセッションを進めていくことになります。

 

させられる転職ではなく、
自ら決める転職へ。

迎えた初回の面談。Hさんの中で、心に残ったキャリコムからの言葉があったといいます。

「面談の冒頭、前述した2つの条件をキャリコムさんに伝えたんです。そのときにキャリコムさんから言われたのは“条件が適う転職はできると思いますし、そのまま活動を進めてもいいとは思います。ただ、その条件だけを伝えていったら【転職するのではなく、転職させられる活動になってしまうんじゃないでしょうか】”という言葉でした。この言葉には、本当にハッとさせられました。同時に、表面的な条件はあるものの、自分の中に明確な軸と呼べるものがないことを改めて痛感しました。」

「キャリコムさんからの提案はシンプルで、“軸を明確にし、自分自身の想いや意志で転職を決めるために、まずは自分自身ととことん向き合うことが必要”ということでした。最初に頂いたメッセージ通り、私のやりたいことを一緒に見つけてくれるはずだと、信頼ができた瞬間でもありました。そこからは、それまでに求人を紹介してもらっていた複数のエージェントさんとの活動もストップし、自分と向き合う時間に集中することに決めました。」(Hさん)

世の中にある選択肢を見る前に、自分自身の想いと向き合う。そんなキャリコムからの提案に共感をし、具体的なセッションを始めることにされたHさん。そのスタートは、ご自身の中で決めていた条件面を一度思考の外側に置くというものでした。

「インセンティブや外資系というのは、軸ではなく目に見える条件面でした。セッションではここを一回思考から外し、物事や仕事における好きと感じること(やりたいこと)、嫌いに感じること(やりたくないこと)といった“自分自身の価値観”に向き合うことに集中しました。」

「セッションを通じて、自分が価値を提供したいのは企業なのか、個人なのか。提供したい価値はどんなものなのか等、徐々に軸が明確になっていきました。そんなプロセスを経て、最終的に辿り着いたのは【“キャリア”に対する自分自身の想い】でした。」

「前述した第二新卒での苦労や、スポーツを一生懸命やり切った先にその情熱をどう仕事に向ければいいのかわかなくなった時期があったこと。自分の人生を振り返った時に“キャリアにおける課題・問題をどうにかしたい”という想いが多くあったことに気づいたんです。前向きな想いは確かにあるのに、それをキャリアという形にどう変換していくことができるのかがわからない。そんな経験をした自分だからこそ、同じ想いを持った人に応えることができるのではないかと感じたんです。」

「実は当初、業界として人材に興味があることはキャリコムさんに伝えていました。ただ、その時は周囲に働いている人がいるから等、表層的な理由でしかなかったので確信は持てていませんでした。ただ、自分と向き合い出た最終的な結論には心から納得でき、前向きな想いが生まれていました。結果としては同じだったかもしれませんが、そのプロセスがあったからこそ、出逢えた感情だと思っています。」(Hさん)

セッションを通じて明確になった“キャリアに携わりたい”という想い。約2か月間ご自身と向き合ったことでできた軸を元に、Hさんは選考のフェーズへと移られることになりますが、結果としてキャリコムを通じた転職にはなりませんでした。

「キャリコムさんからは最初の面談の際から、“外資系の提案はキャリコムではできない”と言われていました。自分の軸を明確にするために一度思考の外に置いた条件面でしたが、最終的にはここも自分の中では重要だったんですね。“やりたいこと”と“変えたいこと”は別物として捉え、双方が実現できる転職を実現したかったんです。」

「結果的にお世話になったキャリコムさんでの転職にはなりませんでしたが、当初からその可能性がありながら最後までご支援くださったことに、本当に感謝をしています。今回のインタビューといった形でご縁を繋げて頂いていることもそうですが、本当に“やりたいことを仕事にする”ためのご支援を、真正面から誠実にされているんだなと感じています。」(Hさん)


 

最後に残るのは、
自分自身の想い。

最終的にはご自身での応募で2社の選考を受けたHさん。結果は、両社とも内定という結果に。選考のプロセスでは、ご自身に向き合われた経験が活きたといいます。

「自分と向き合い、価値観を深堀したことで面接において困ることはほとんどありませんでした。転職した理由、転職で実現したいこと。過去の経験も、未来に向けた想いも、明確に話せる状態になっていました。あとは企業様に合わせてある程度の志望動機を用意するくらいの対策をしたイメージでした。それも、自分の想いから選んだ企業様なので、特段悩むことはなかったですね。」(Hさん)

こうして2社の内定をつかみ取り、最終的に現職への入社を決めたHさん。最後の意思決定においても、ご自身の想いを軸にしたことで、納得できる選択になったといいます。

「最終的に内定を頂いた2社は、外資系企業と日系グローバル企業でした。結果的には後者に入社を決めたのですが、この意思決定において決め手になったのは“前職での原体験”でした。前職が、金融業界ではめずらしくノルマがない環境で、そんな環境だからこそ真の意味で“お客様のために“という気持ちで仕事ができていました。変えたいこともありましたが、魅力に感じている働き方もあったんですよね。自分自身の好きなこと・嫌いなことにとことん向き合えたからこそ、最終的な意思決定にも迷うことなく、スムーズに決断ができました。」(Hさん)

元々持たれていたベースの条件はありながらも、最後はご自身の“想い”に基づき意思決定をされたHさん。

「条件面はベースとしてありながらも、やはり仕事は毎日することで。だからこそ、自分の特性を考えて、好きな働き方も実現したいと思ったんです。そう思うこともができたのも、キャリコムさんを通じて自分の中にある“想い”と向き合うことができたからだと思います。」(Hさん)

 

自分と向き合い決めた軸が、
未来の自分を支えてくれる。

現在、新しい環境でのキャリアをスタートさせているHさん。改めてご自身の転職活動を振り返り、感じたことがあるといいます。

「転職活動のきっかけは、多くの方が現状の“嫌なこと”を変えたいと思い始めるのではないかと思います。これが悪いということは決してないのですが、やはり自分自身の“軸”を決める大切さを今改めて感じています。」

「キャリコムさんに言われた言葉ではありますが、世の中に多様な手段がある中で、“転職をすること”はきっとできると思うんです。ただ、それが“良い転職”になるかは別だと感じます。現状の嫌なことにだけ目を向け、それを変えるためだけの転職は、きっと何年後かにまた同じ状況になってしまうのではないかと。もちろん、どんなプロセスを踏んでも転職後に感じることは人それぞれで、私もどうなるかはわかりません。ただ、何か壁に当たったとき、立ち止まりそうになった時に【自分自身と向き合い、意思決定できた過去】が、自分を支えてくれると思うんです。自分と向き合う時間は一見遠回りのようにも感じますが、長い目で見たときに、最初に立ち止まることの大切さを、今前向きに働けている自分を通して感じています。」(Hさん)

未来の自分を支える、過去の自分と自らの決断。
現職でご自身の理想となる働き方・環境を手に入れたHさんですが、その変化は最も近くにいる存在にも伝わっていました。

「転職してから、主人に“家での会話が180度変わったね”と言われるんです。それが今、すごく嬉しいんですよね。」(Hさん)
 


 


インタビュー/執筆:若林 捷(@waka_sh0 | Instagram)