Wills

それぞれのリアル
to WEBマーケ

弱い自分から、逃げない。

VOICE Sさん
住宅メーカー/販促企画 ▶ WEBマーケティング/コンサルタント

INTRO

大手住宅メーカーにてキャリアをスタートさせ、自社ブランドの新築戸建住宅の営業に従事された後、本社のマーケティング事業部へと異動し、WEBサイト運用やオウンドメディアの立ち上げ等をご経験。その後、会社の組織再編に伴い販促企画へと異動。新商品リリースに向けたマーケティング部・開発との協働PJ参画等をご経験。

“営業職を経験し、その後本社で企画職に携わる”

そんな理想的なキャリアを歩まれていたSさんですが、事実とは裏腹にご自身の中で常に、キャリアにおける“理想と現実とのギャップ”に悩まれていました。

言葉にはできないけど、何かモヤモヤする。

そんな状態を長く経験した先に、踏み出した大きな一歩。人生の大きな決断を共に歩ませて頂いたストーリーのご紹介です。
 

“人”の存在が決めた、
社会人としての歩み。

ファーストキャリアの選択においてSさんは、“人”の存在が大きく影響したといいます。

「大学では発達科学部という学部で、心理学や教育に関することを広く学んでいました。そんな背景や自分自身の想いから、“人”に対する興味が大きかったんです。」

「また、就職活動をするにあたっては、父の存在も大きかったと感じます。父は化粧品メーカーで営業として働いていたのですが、働き方の自由度の高さを身近で感じていました。大学で学んだこと、自分自身の興味、そして身近にいる父の存在などから、就職活動の軸は【営業×人と深く関わることができる領域】としていました。」

「そんな中で、法人に対する営業よりも、個人のお客様に対する営業により魅力を感じていました。あくまでイメージではあったのですが、toCの営業の方がお客様と“長く、深い縁”を紡げると思ったんです。」

「また、人の幸せの根本に関われることは何かと考えたときに、やはり衣食住という生活に直結する領域に興味を持ちました。その中で、“インパクトの大きい仕事がしたい。そして、社会に役立ち、人を幸せにできる存在でありたい”という想いもあり、商材単価の高い住宅業過に最も魅力を感じ、最終的には住宅メーカーに絞り選考を進めていきました。」(Sさん)

ファーストキャリアの道筋を定めたSさんですが、営業職を経験した先に企画系の仕事等、より大きな仕事がしたいというキャリアイメージも持たれていたそうです。

「住宅メーカーへの選考を決め、大手8社にアポイントを取り実際に総合住宅展示場に足を運び話を聞くことにしました。話を聞く中で魅力に感じた会社に共通したのは、“人”と“キャリア”のイメージが自分自身の価値観に合致するかということでした。対応してくれた方での判断でしかできなかったのですが、より自分と真摯に向き合ってくださったか。そして、営業職の先のキャリア形成ができる会社なのか。各社1時間の話を1日で聞いて回り、最終的には特に魅力に感じた2社に選考を絞り活動をすることを決めました。」(Sさん)

最終的には見事1社から内定を勝ち取り、入社を決めたSさん。
しかし、大きな理想を描き入社した後に待っていたのは、理想のギャップに苦しむ苦難の道でした。

 

描いた理想と、
現実に消えた想いの火

入社後、まずは自社ブランドの新築戸建住宅の営業としてキャリアをスタートさせたSさん。高いモチベーションの中進んだ先にあったのは、厳しい現実だったそうです。

「営業職を志望し、希望通りのキャリアをスタートさせることができました。入社前から同じ志を持った同期とのつながりもあり、とても高いモチベーションで現場配属を迎え“やってやるぞ”という気持ちでした。」

「しかし、結果的には営業職として結果を残すことはできませんでした。“自分はできる”という慢心から、自己流でいろいろなことを進めてしまっていたことが、今となっては良くなかったと感じます。周囲の声に耳を傾けることができず、結果が出ないことでモチベーションも下がっていくという悪循環にはまってしまっていました。」

 

「そんな状況から”営業職として結果を残した上で30代で本社勤務に移り、より大きな仕事がしたい“という自分自身のキャリアイメージが、音を立てて崩れていくような感覚になっていました。描いた理想に対して目の前にある現実が大きくかけ離れている状況に、徐々にモチベーションを失っていったことを覚えています。」

「もちろん、結果を出せていなかったのは自分自身の責任でした。ただ、やはりキャリアの理想は叶えたいという想いもあり、入社3年を過ぎたときに一度退職を決めたんです。環境を変えることで、何か変わるかもしれないと思ったんです。」(Sさん)

目の前にある厳しい現実と、それを受け入れることができない理想の自分。そんなギャップに苦しみ、直属の上司に退職の意向を伝え新しい環境での再挑戦を決めたSさん。しかし、思いがけず中長期で目指していたキャリアの実現ができるチャンスが舞い込んだことにより、新しいポジション(職種)にて、現職に残る決断をされます。

「退職の意志を固め、現場の上司に伝えたのですが、新卒採用の際にお世話になった人事責任者の方から“本社のマーケティングのポジションが空くから、そこで頑張ってみないか”とお声がけを頂いたんです。営業として成果を残すという目的を達成できていない中での打診に、とまどいももちろんありました。“こんな形で、自分がイメージしていたキャリアを実現していいのか”と。それでも、最終的には頂いた打診を受諾し、残留を決めました。」
 

言葉にできない、不安。

思い描いていた理想のキャリアイメージとは異なる形で、本社でのキャリアをスタートすることになられたSさん。実際に業務をしてみると、大きなやりがいを感じることができたといいます。

「移動したマーケティングの部署では、主に集客を目的にした企画業務に携わらせて頂きました。自社WEBサイトの運用や新規ページの制作、オウンドメディアの立ち上げ等を経験させて頂きましたが、様々な仕事に携われる働き方は、飽き性なところがある自分に合っていました。異動した経緯はイメージしていたものとは異なりましたが、やりがいを感じながら仕事ができていた瞬間でした。」(Sさん)

社内の中で、やりがいを持って働ける環境を見つけたSさん。しかし、大企業ならではの、個人ではどうしようもできない事情から、突如として新たな部署への異動が決まります。

「2年ほどマーケティング部に所属していたタイミングで、会社の中で大きな組織再編が決まりました。新しい事業方針が決まり、それに応じた組織再編と人員のポジションチェンジが決まったんです。これにより、所属していたマーケティング部は基本的に理系出身の方が担当することになり、文系出身だった自分は販促企画を担当する子会社に異動することになりました。ある意味、組織再編に伴いはじかれたような形でした。」(Sさん)


 

「新しい組織での仕事に、大きな不満があったわけではありません。ただ、社会人生活の中でずっとモヤモヤしていた自分の想いが大きくなるきっかけにはなりました。部署を転々としていく大企業としての働き方が、自分自身のキャリアイメージを実現するために適切な道になっているのか疑問を感じるようになったんです。ちょうど、“個を伸ばす必要性”を時代の流れからも感じていたこともりました。」

「漠然とした不安が募る中で、当時尊敬していた上司にも相談をしてみたんです。そのときに言われたことは、上司も将来に向けて不安を感じる部分があるということでした。大企業で成果を残し、事業部の責任者を担われている方でもそういった不安があることに、とても驚いたことを覚えています。この経験から“このまま会社に残り続けても、便利屋としてうまく使われてキャリアが終わってしまうのではないか”と、不安がより大きくなっていきました。でも、大きくなっていく不安に対して、明確に見えているものは自分の中にない。そんな状況が、長く続いていました。」(Sさん)

ご自身ではコントロールすることができない、外的要因から来る不安。
今のままでいいのか。いや、良くない。でも、何をすればいいのか。
答えのない道の中で、前に進むことができなかったSさん。決断したのは、自ら道を断つという、大きな選択でした。

 

弱さを認め、断った退路。

「身を置いている環境や周囲の人を見て不安が募ると同時に、そこに対して何もできない“自分自身への不安”を強く感じていました。前述の通り飽き性なところがあり、何かをやり切るということに対して自信を持てずにいました。ある程度のところまで行ったら、こんなものでいいか、と立ち止まってしまうんですよね。」

「そんな自分を、変えなくてはいけないと思いました。入社したときに感じていた“インパクトの大きい仕事がしたい。そして、社会に役立ち、人を幸せにできる存在でありたい”という想いに立ち返ったんです。」

「そうすると、その想いが全く実現できていない。実現に向けて、何も変えられてない自分がいることに改めて気づきました。“自分の弱さ”を強く認識し、認めた瞬間だったと思います。結果、その弱さを乗り越えるためには退路を断つしかないと感じ、転職活動をする前に退職することを決めました。」(Sさん)

ご自身と向き合い、弱さを認め、断った退路。Sさんは自分自身が歩む道を決めるための、スタートラインに立たれました。キャリコムがSさんとご縁を頂いたのは、そんなタイミングでした。

 

人生の中にある、
自分にとっての“仕事”とは。

退職が決まり、転職活動をスタートさせたSさん。キャリコムとの接点は、すでにキャリコムのサービスをご利用頂いていた知人からのご紹介で始まりました。

「退職を心に決めてから自己分析を進めていましたが、具体的には何も決めずに退職をした形でした。周りからも心配されましたし、自分自身も不安ではありました(笑)そんな状況を知ってか、すでにキャリコムさんを利用して転職活動をしていた知人から“一回相談してみれば?”と紹介を受けたんです。」

「自分自身、元々アドバイザーの方をつけての転職活動はしないつもりでした。求人サイトは登録していたものの、離職になることもあり、急かされることが目に見えていたので。。。」

「ちゃんと、自分自身と向き合い、納得できるまでの時間が欲しかったんです。ただ、知人から紹介を受けた際にキャリコムさんのサービス概要を聞き“それならやってもいいかも”と感じたんです。【求人紹介から入るのではなく、まずはやりたいこと、ありたい自分の姿から決めていく。】そんなキャリコムさんの考えと、知人が前向きに紹介をしてくれた姿からまずは相談することを決め、初回面談の依頼をさせて頂きました。」

「面談で感じたのは、知人が紹介をしてくれたときに言っていた言葉どおりのものでした。明確に覚えているのは“Sさんの中で軸が固まるまで、求人の紹介はしません”という言葉でした。もちろん、事前に知人から聞いていたことではあったんですが、離職中で3ヶ月後には転職しなくてはいけない自分にこの言葉が言えるのは、客観的に見てとてもすごいなと感じました。」

「一方で、やはり時期的な焦りがあったことも確かだったので、キャリコムさんへの相談と合わせて、自分自身で半年前から進めていた自己分析は、継続して行うことにしたんです。」(Sさん)

キャリコムと出会う前から約半年間、自己分析や企業分析を自ら行っていたというSさん。ご自身で進めたこと、キャリコムと協働で進めたこと。どちらもSさんにとってはご自身と向き合うための大切な時間であった一方、明確な違いもあったといいます。

「自己分析は、書籍等をつかい我流で行っていました。“自分を知る”ということに重きを置き、過去の経験・そこで感じたこと・得られたことなどをとにかく書き出していきました。最終的には、自分自身が好きなことや価値観、得意なことなどを言語化したのですが、これらの自己分析は“どう生きたいか”、という人生に焦点を当てたものでした。」

「そのため、自分自身のことはある程度知れた感覚もあったのですが、それが“仕事”という観点で言語化できていないことをキャリコムさんに指摘頂きました。まさにご指摘の通りで、大きい絵は描けているけど、具体的な方向性については定まっていないという状況でした。振り返ると、成果を残すことができなかった営業時代と同じ状態だったのかなとも感じます。自分だけで進めることには、やはり限界があったんですよね。」(Sさん)

“人生”と、その中にある“仕事”。双方向からご自身を知ることで、【自分にとって、仕事とはなんなのか】ということを見つけるために、キャリコムと共に歩むことにしたSさん。計6回の打ち合わせを経て、白黒だった絵に色がついていくように、ご自身が仕事として何をしていきたいのかが明確になっていったといいます。

「キャリコムさんとの打ち合わせは、“仕事観”を具体的に言語化していくためのものでした。その過程では、キャリコムさんにご用意頂いたワークシートを使い、とにかく自分と深く対話することを求められました。」

「ビジョンとして、どんな人になりたいのか。仕事として何がしたいのか、したくないのか。自分自身がやりたい仕事とは、どんな人の、どんな課題に貢献できるものなのか。毎回の打ち合わせに向けてブラッシュアップしたワークシートを、キャリコムさんとの壁打ちでより明確にしていく。厳しいご指摘を頂いたこともありましたが、弱い自分とも向き合うことができた実りある時間だったと思います。そんな過程を経て、“自分にとっての仕事は、人生の中でどんな立ち位置にあるのか”ということを知ることができました。仕事のために何かを考えるのではなく、【人生での幸せを実現するために、仕事として何をしたいのか】という視点で考えることができたのは、自分自身にとっても大きな気づきでした。」(Sさん)

 

心から笑える、
自分に会うために。

やりたいことにも、大切にしたい想いにも、弱いご自身にも向き合われ、“営業・マーケティング・販促企画という過去の経験が活かせながらも、やりたいことにチャレンジしながらキャリアを描ける仕事”を軸に選考をスタートされたSさん。
最終的には、WEBマーケティングのコンサルタントに見事ジョブチェンジを実現されました。

「最終的には“①過去の経験を活かせること②やりたいこと③キャリアを描けること“を大きな軸として求人を見ていくことにしました。具体的にはマーケティング領域でのコンサルタントに決め、キャリコムさんから約10社ご紹介を頂きました。」

「選考自体は5社書類選考に通過し、早い段階で2社から内定を頂くことができました。実はキャリコムさんからのご紹介前に自分自身で10社程選考を受けていたのですが、一次面接から言語化できないことが顕著に表れてしまい、結果も伴いませんでした。最終的に良い結果をつかむことができたのは、やはり自分自身と向き合い明確な言語化ができていたことが大きかったと感じています。」

ご自身が目指すキャリア、そして人生に向けて新たな一歩を踏み出されたSさん。ご自身と向き合う時間を大切されたからこそ、今感じていることがあるといいます。

「人生の中で、本気で自分自身と向き合うこと、誰かと対話をすることはそう多くないと思います。
転職を実現し、私自身心から良かったと感じていますが、それもキャリコムさんと歩んだプロセスがあってこそのものだと感じています。今は、自分の理想とする人生の幸せに、仕事を通じて歩みを進められていると実感できています。」(Sさん)

転職は、キャリアにおいて大きな影響をもたらします。その結果はもちろん重要なことでありながらも、本質的には【自分自身と向き合う】というかけがえのない時間を人生の中につくれることにあるのではないか。
ご自身の未来に向けてワクワクし、心から笑うSさんを見て、改めて”大切なこと”に気づくことができたような気がしました。

 


インタビュー/執筆:若林 捷(@waka_sh0 | Instagram)