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それぞれのリアル
to 人材

過去が繋がり、未来になる。

VOICE Wさん
大手総合メーカー/経営企画 ▶ 人材紹介/キャリアアドバイザー

INTRO

大学卒業後、大手総合メーカーにて営業に従事。自社ブランドの新築住宅営業職としてキャリアを歩まれた後、社内公募により花形部署・経営企画部に異動。入社前にイメージされていた「営業で経験を積んだ後、経営に携われるポジションにいきたい」というご自身の理想を実現されますが、わずか1年で転職という道を選ばれました。
営業と経営企画、市場の最前線と上流という大きく異なる二つのご経験から感じた想い。その一方で、リアルな転職市場とご自身の想いの狭間で押し潰されそうになった「やりたいこと」。共に歩みを進めさせて頂いた、約7ヶ月間のストーリーをご紹介します。

 

自分自身の想いが、
人の心を動かす。

新卒で大手総合メーカーにご入社されたWさんは、入社と同時にグループ会社である住宅メーカーへ出向し、営業職としてキャリアをスタートされました。自身への大きな期待をしてスタートさせたキャリアは、当初挫折の連続だったそうです。

「入社後、グループ会社に出向し新築住宅の営業職としてキャリアをスタートさせました。1か月間の研修を経て現場配属となったのですが、研修期間中のロープレや知識テスト等で良い成績を残せていたことから、当時は“すぐにでも成果を出して活躍したい。自分ならできる。”という気持ちでした。でも、いざ蓋を開けてみると全く成果を残すことができませんでした。自社商品の説明はうまくできているのに、目の前のお客様の“心”が動いている手応えや実感はほとんど持てずにいました。気づけば11月になり、同期全員が初契約を達成している中でも契約が取れず、結果的に自分が一番スタートダッシュに躓く形となっていました。2年目の終わりくらいまでなかなか成果が残せない状況が続いて、苦しさと情けなさが募る一方でしたね。」(Wさん)

イメージしていた理想と大きく異なってしまった現実。しかし、この経験からWさんはそれまで気づくことができなかった、”人の心を動かすために大切なこと”に気づくことができたといいます。

「人生の中で、サッカーでのキャプテンやクラスの委員長、ゼミ長等、チームを牽引する経験を多くしていました。そういった経験や元々の性格もあり、相手に寄り添うというよりも“ついてこい”精神のようなものがありました。ですが、社会に出てすぐの自分に、お客様を牽引するだけの経験・スキルは当然なく、ボロが出た形でした。」

「そこから、人の心を動かすために本質的に必要なことは、論理立った矛盾のない言葉や説明ではないのではと感じ始めました。これは、自分にとって大きな気づきでした。【何を伝えるかよりも”なぜ伝えるのか”という視点が大切で、そのなぜを伝えるために、目の前の人の“想い”に心から寄り添う必要がある。そんな”自分自身の想い”に、人の心は動かされる】のではないかと気づいたんです。そこからは、営業スタイルも大きく変わり、徐々に安定して成果を残せるようになっていきました。」(Wさん)


営業時代の経験が、今の自分の想いに繋がっているとWさん

 

自分がやりたいことは何か

徐々に成績も安定したことで、営業としてやりがいを感じていたWさんですが、何度か転職を考えた時期もあったそうです。

「成果が安定して充実感・やりがいを感じる一方で、入社前からの想いもあり営業としてずっとキャリアを歩むべきか常に悩んでいたことも事実でした。実際、転職サイトにも何回か登録して、エージェントさんの話を聞いたこともありました。それでも、今思うとこのときはまだ本気で転職を考えているという感じではなかったように思います。」(Wさん)

ぼんやりとした不安があり、転職が頭には浮かぶがなんとなく踏み出すことはできない。そんな多くの方がご経験される想いを、Wさんもまた感じていました。しかし、あることがきっかけでWさんは一度、本気で転職を考えることになります。

「簡単に言うと、些細なことから上司と大きな衝突をしてしまったんです(笑)自分自身、離職率の高い住宅業界の課題は働きながら強く感じていました。特に、年次も上がりマネジメントや育成を担う立場になったときに、若いメンバーが辞めていってしまうことに対して、残念でやりきれない気持ちがありました。上司とぶつかった背景には、そういった事実の積み重ねも原因としてありました。営業を通じて“想い”に向き合う大切さを感じていたこともあり、それが社内のメンバーに向けられないことに憤りを感じてしまったんですよね。でも、いち営業では会社の構造や文化まで変えることは難しい。これをきっかけに、徐々にモチベーションが低下した結果、環境を変えるしかないと転職を決意しました。」(Wさん)

共に働くメンバーの想いに向き合うことができない組織の課題を感じ、転職を決意されたWさん。しかし、転職を決意したものの何が自分のやりたいことなのかは見えていない。そんな状況の中Wさんは、書籍やYouTube等を活用した独学での自己分析をスタートされます。

「【やりたことの見つけ方】という本を何度も何度も読みました。本の中にあるワークも繰り返し行い、自分が何をしたいのかについて深く考えました。就職活動のときも、長い時間をかけて自己分析を行っていました。自分自身が持つ考えや想いと向き合うことが、元々好きだったんだと思います。」(Wさん)


Wさんが独学で自己分析した際に作成された資料


「自分と向き合い出てきたのは“より多くの人に影響力を与えたい”という想いでした。BtoCの営業職ということもあり、自分が価値提供できる範囲が限定されていることに課題を感じていました。“もっと多くの人に対して、自分自身のアイデアや思考で価値を提供したい”、そんな想いから、ライターやブランディング等、クリエイティブ系の仕事を考えていましたね。」(Wさん)

転職に向けて行動をしようとしていたWさん。そんなタイミングで、社内の公募により経営企画のポジションの募集が出たそうです。

 

進んだ経営企画の道と
曲げた自分の想い

「転職を決意したタイミングで、たまたま経営企画の募集がありました。自分がやりたいことの方向性とは少し異なるとわかっていましたが、入社前からの想いもあり最後にダメ元でチャレンジしようと思ったんです。同時に、営業として感じていた前述の課題が解決できるかもしれないという期待感もありました。従業員やお客様といった会社の大切な財産に対して、経営というポジションであれば真の意味で向き合えると思いましたし、より多くの人に貢献できると感じたんです。」(Wさん)

多数の応募者が集まる花形部署の経営企画。社内での最後のチャレンジに臨まれたWさんは、見事に合格。経営企画として新たなスタートを切られることになります。

「いろんな縁とタイミングもあったと思いますが、合格という結果をつかむことができました。ただ、自分の中で少しモヤモヤしている気持ちもありました。それは、経営企画というポジション自体に、自分の想いを”寄せていった”感覚があったからです。それでも、“現場で働く社員の方々がもっと生き生きと働く職場にしたい。そして、お客様が喜ぶ仕事につなげたい”という想いもあり、大きな期待感があったことも事実でした。」(Wさん)

営業職から経営企画。市場の最前線から一気に組織の上流ポジションへと転身をされたWさん。しかし、大きな期待とは裏腹に、感じたのはご自身の想いと業務の間にある少なくないギャップでした。

「経営企画では、到底自分の年齢や実績では経験できないようなことがたくさんできましたし、営業経験しかない自分にも本当に多くの機会を頂きました。一方で、自分がやりたかったことが実現できているという感覚を持つことはできていませんでした。」(Wさん)

満たされない想いの背景には、前述した、ご自身の想いと向き合いきれなかったことが大きく関係していました。

「自分自身、経営という言葉の華やかさの裏にある厳しさを、事前に深く考えることができていなかったと感じています。同時に、公募に受かるために自分の想いをポジションに寄せてしまっていたことも大きな要因でした。貢献したいと思う人たちに価値提供ができないどころか、逆のことをしてしまっている感覚すらあり、大きくモチベーションを落としていきました。」(Wさん)

社内での「最後の挑戦」として選ばれた経営企画。しかし、だからこそ感じてしまったご自身の想いとのギャップによる、大きな葛藤と失望。Wさんは改めて、転職を決意されることになりました。

 

認められなかった想い

転職活動を開始されたWさんは、大手エージェントを中心に面談の機会を作られます。しかし、“現実重視”のエージェントからの提案と、ご自身の想いのギャップに悩まされたといいます。

「基本的には、経営企画に異動する前の自己分析結果を元に活動を始めました。ですが、エージェントさんからは経験ベースの提案がほとんどで、自分の想いを伝えきる前に数多くの求人が送られてきました。もちろん、経験ベースでの転職をする方がほとんどなんだとは思います。たくさんの求人を見て、数で納得できる方やそこから取捨選択ができる方もいらっしゃる。でも、自分自身はそうではなかった。やりたいこと、想いにフォーカスして転職をしたいと考えていたからこそ、エージェントさんの提案や対応に疑念を抱いてしまいました。結局、提示された求人を深く見ることも行動することもできなく、ただ時間だけが過ぎていく。モヤモヤとした状況が続いていましたね。」(Wさん)

想いがあるのに、伝えることができない。Wさんとキャリコムが出会ったのは、そんなときでした。

 

『やりたいことを、仕事にしませんか?』
心が動いた、一通のメッセージ

“エージェントでの転職は難しいかもしれない。”
そう感じたWさんは、ダイレクトリクルーティング等で企業と直接接点を持つようになっていました。そんなとき、キャリコムからのメッセージに、Wさんの心が動かされたそうです。

「先が見通せず悩んでいる中、いつも通り転職サイトを見ていると1通気になるメッセージが届いていたんです。そこに書かれていたのは『やりたいことを、仕事にしませんか?』という言葉でした。日々多数のメッセージをエージェントさんから頂いていましたが、そんな言葉を目にしたのは初めてでした。HP等も拝見し、まずは相談してみようと思い面談の希望をご返信させて頂いたんです。」(Wさん)

こうして繋がった、Wさんとキャリコムのご縁。しかし、初回の面談はわずか5分で終了することになります。

「面談日程を調整した後、キャリコムさんから事前ワークシートの作成依頼が来ました。ただ、自己分析をしていたこともあり、私は全く手を付けずに本番を迎えたんです。それまでかなりの時間をかけて自己分析をしていたので、ワークシートの作成をしなくても十分お話できると思っていたんです。」

「そのまま当日を迎えて、冒頭でワークシートの作成ができていない旨をお伝えしたら、スケジュールの再調整を打診されたんです。“真剣に取り組んだワークシートがないと、お互いにとって意味のない時間になってしまう”とのことでした。これには、正直かなり驚きました。少し、怒られたような感覚さえありました(笑)。でも、だからこそ信頼できるとも感じました。今まで、エージェントの方にはお客様扱いされていた感覚と同時に、“転職を決めてもらう”という雰囲気を感じていました。キャリコムさんには、それが全くなかったんですよね。“この方なら、自分の想いと真正面から向き合ってくれるのではないか”と感じる、大きなきっかけとなりました。」(Wさん)

 

無意識に見ていた、
自分以外の想い。

こうして始まったWさんとキャリコムの打ち合わせ。過去にご自身で自己分析をしていた経験から、自分のやりたいことは明確だと信じていたWさんですが、その考えは少しずつ変化していったようです。

「キャリコムさんとの面談を進める中で、想像以上に自分の想いが言語化ができていないことを痛感しました。自己分析で出した想いについて深堀をされても、明確な答えを出しきれない状況が続いたんです。当初は、自分自身の考えやアイデアを“形”として残す仕事をしたいと考えていました。しかし、面談を進めていく中で“どんな形にしたいのか”“どんな人に届けたいのか”といったことを深く考える機会をキャリコムさんに頂きました。結果として、自分が本質的にこだわりたかったのは、形に残すことではなく【ひとりひとりの想いに向き合うこと】だと気付きました。形に残すことにこだわっていたのは、実は自分の中にある想いではなく、周囲への憧れに近いものだったんです。身近にいる方々が不動産の開発事業や、日本の伝統工芸品に関わるクリエイティブ関連の仕事をしていたことから、無意識にその方々の働き方を自分の想いに転換してしまっていたんです。まさに、経営企画に異動したときと同じ状況だったと思います。【人の想いに寄り添い、心を動かす仕事を通じて、自分らしく生きれる人を増やしたい】それが本心だと気づいてから、見える景色が大きく変化しました。」(Wさん)


Wさんがキャリコムとの打ち合わせを通じて作成されたワークシート

 

ご自身の想いが、周囲や世間に溢れる情報により無意識の内に形成されてしまっていたことに気づいたWさん。週1回・1時間の面談を続けご自身の想いが言語化でき整理されたのは、初めてのお打ち合わせから約4か月が経過したときのことでした。

「自分の想いと向き合うことに楽しさを感じると同時に、やはりしんどさを感じる瞬間もありました。それでも、この時間があったからこそ最終的に出た言語化の形には、大きな達成感と納得感を得ることができました。自分自身の本当の想いが明確に言語化できたことで目指す方向性もクリアになり、人材業界を軸とした転職を目指すことになりました。」

「実は2回目の面談で、キャリコムさんからは“Wさんがしたいことって、たぶん私みたいな(人材系)仕事だと思いますよ。”と言われていたんです(笑)結果的にはその通りになったわけですが、キャリコムさんは私自身が納得するまで打ち合わせの機会を作り続けてくれました。明確にやりたいことが言語化されるまで、求人の紹介や企業への応募、方向性についてキャリコムさんから何かを薦められるということは一度もありませんでした。常に想いと向き合い、私自身に意思決定を委ねてくださったんです。」(Wさん)

人材業界を目指して選考をスタートされたWさんは、最終的に応募した2社双方から内定をつかみ取られました。

「面接は、トントン拍子で進めることができました。過去の原体験から、やりたいことの言語化を深く考えていたプロセスが、面接という場でも大きな価値を発揮したと思います。」(Wさん)

 

過去の道程から、
未来を決断する。

現在、新たなキャリアをスタートされているWさん。ご自身の想いとやりたいことに向き合い続けた日々に、転職した現在でも大きな価値を感じているといいます。

「生まれ育った環境や、成功も挫折も含めて心が動かされた過去の経験。全てが、自分自身の今の想いに繋がっていると感じます。過去の経験と現在の自分との繋がりを見つけることができたからこそ、未来に対しても自ら決断することができました。それが、転職した今でも自信やモチベーションの源泉となっています。どんな選択でも、ときにギャップを感じたり躓きそうになる瞬間はあると思います。でも、そのときに少しだけ踏ん張って、前を向き、小さな一歩を踏み出すために【自分自身の想いと向き合い、自らの力で意思決定をする】ことが必要だと感じます。同時に、その決断を共に考え、支えてくれるパートナーが必要で、私にとってはそれがキャリコムさんだったんです。」(Wさん)

『過去の道程から、未来を決断する。』
そう強く語るWさんはこれからも、今日までの想いに向き合い続けながら、明日への一歩を踏み出されていくのだろう。


 


インタビュー/執筆:朝烏 修平