Wills

それぞれのリアル
to 人事

立ち止まり、気づいた想い。

VOICE Sさん
人材派遣/労務 ▶ 人材紹介/人事

INTRO

大学卒業後、人材派遣会社にて営業・管理に従事。その後、自ら手を上げバックオフィス業務へと異動。主に給与計算を行う労務職へと社内で転身をされる。常に、【一緒に働く社員のために、自分に何ができるのか】ということを考えて仕事をされる中で、労務だけではなく人事全般の仕事に携われるようになりたいと考え転職を決意。しかし、とある企業の最終選考で落選したことをきっかけに転職活動の方向性や軸そのものを見つめ直すことに。自信を失い、立ち止まったことで改めて向き合い直したご自身のキャリア。大きな挫折を経たからこそ、気づくことができた想い。新たな一歩を踏み出すために、寄り添い、伴走させて頂いたストーリーをご紹介します。

 

“働く”ということへの価値観

自分がやりたい仕事とはなんなのだろうか。どんな仕事が、自分には合っているのだろうか。
ファーストキャリアを選択する就職活動において、多くの人が悩む問題。Sさんは、ご自身が取り組まれたいくつかの経験からこの問いに向き合われました。

「大学2年生のときに、就職活動をしていた先輩から製造業をおすすめされていました。ビジネスモデルや当時の潮流から、製造業が今アツいよと(笑) その流れで、3年生になったときに紹介でとある大手メーカーのインターンに参加させて頂きました。でも、いざ参加してみると、自分には合ってないかもなと感じてしまったんです。インターンの中で、その企業に対する参加学生からの事業提案のようなものを行ったんですが、それに対する経営陣の反応が少しネガティブなものだったんですよね。そこから、自分がその会社に入って多くの時間を過ごす中で、どういうマインドになってしまうのかが見えてしまった気がしたんです。この会社で働いたときに、将来的に楽しく仕事をすることはできないのかもしれないなって。」(Sさん)

インターンを通じて“働く”ということに対するご自身の価値観を感じたSさん。ビジネスモデルや会社の名前はもちろん大切だが、それ以上に【働きやすさ=環境と自分自身の想い】が大切であることに気づかれます。

「インターンでの経験を経て、改めて自分自身の軸を作ることにしました。軸を作る上で振り返ったのは、大学生活で力を入れていたオープンキャンパス開催の活動です。留学生が非常に多い大学だったので、開催に向けては多種多様な国籍・文化・価値観の中で様々な意見が出ていました。でも、それぞれに話を聞いて想いを深堀りしていくと“高校生のために、有益な情報提供がしたい”という共通した想いが見えてきたんです。幹部として携わっていたのですが、“先頭に立って引っ張るだけではなく、周囲の状況を見て何かを提供することもマネジメントの一つではないか”と感じることができた経験でした。そんな原体験から、自分がやりがいを持って楽しめる仕事は、【何かを提供することで、働きやすや人が持つポテンシャルを引き出すことができる仕事】なのではないかと感じるようになっていったんです。」(Sさん)

ご自身の原体験をもとに、就職活動の軸を定めたSさん。最終的には、大手人材派遣会社をファーストキャリアに選択され、社会人生活をスタートされます。 

 

提供する側と、される側。
すれ違うそれぞれの想い。

幹部候補生としての選考を受け入社したSさんは、営業と自社派遣従業員の管理を行う二つの役割を担いキャリアをスタートさせました。クライアントに対して、自社で保有する派遣社員の採用提案を行うと同時に、派遣従業員たちの働き方やモチベーションを管理する立場に就かれますが、働く中で入社前との大きなギャップを感じたといいます。

「自社が保有する派遣従業員の人たちに対して、キャリアUPや選択肢の幅を広げる機会の提供ができることに魅力を感じて入社をしたんです。しかし、働いてみると“提供する側”と“される側”の想いに大きなギャップがあることを目の当たりにしました。派遣従業員の人たちは、キャリアUPよりも現状の維持を望まれるケースが多く、家族との時間や地元での定住といった目の前にある幸せを、キャリアよりもずっと大切にされていたんです。自分自身が提供したい価値が、提供したい人たちの想いと異なることを知り、仕事に対して前向きになれない日々が続きました。」(Sさん)

志を持って入社したからこそ、ギャップに苦しんでしまったSさん。次第に、クライアントに対する提案にも自信が持てなくなっていったそうです。同時に、ご自身が身を置かれていた環境に対する疑問も生じていたといいます。

「ふと周りを見てみると、自分と同じ仕事をしている同僚・上司がいきいきと仕事をしていないことに気づきました。派遣従業員の方々のキャリアを支援する以前に、一緒に働いている人の幸せを支援することができていない。目の前にいる人を幸せにできないのに、やりたいことなど実現できるわけないと強い危機感を覚えました。」(Sさん)

入社後に感じたギャップとご自身の環境に対して感じた危機感。これらをきっかけにSさんはより自社で働く人たちのためになる仕事がしたいと考え、2年目にバックオフィスへの異動を上司に打診。キャリアを大きく変え、労務(給与計算を担当する部署)へと異動されます。

「自ら手を上げての異動でしたが、やはり大変なこともたくさんありました。減点方式の仕事の中で、厳しいことを従業員の方から言われたことも少なくなかったです。でもそれ以上に辛かったのは、社員の方々を“数”としてか見られないことでした。“このままキャリアを歩んでいって、現場にいる人たちに対して何かできることはあるんだろうか”と考えるようになってしまっていました。」(Sさん)

悩み、苦しみながらも社員の方々のために何ができるのかを模索しながら働く日々。気づくと、幹部候補生としての期間である3年の月日が経過していました。一つの区切りを迎えたSさんが感じたのは、ご自身の業務の幅を広げることで、本当の意味で社員のために仕事ができる存在になりたいという想いでした。

「給与計算の仕事をする中で、自分自身がいちアウトソーサーでしかないなと感じていました。今後キャリアを進めていく中で、労務の一部しかわからない状態では、社員のためにできることが限られてしまう。自分の成長も考えて、人事労務に幅広く携われるようになりたいと考えるようになっていました。」(Sさん)

中長期的な視点でご自身のキャリアを再考し、成長と変化を求めたSさんは転職活動をスタートさせることになります。転職活動の軸は【①人事労務に幅広く携われるかどうか②一緒に働く人がどんな想いでで働かれているか(環境)】の二点。Sさんにとって、初めての転職活動がスタートします。

 

最終選考での落選。
失った自信と新たな出会い。

転職活動をスタートさせたSさんですが、当初はエージェントへの依頼はされず、主にダイレクトリクルーティングを活用して様々な企業にカジュアル面談という形で接点を持たれていかれます。約半年間、企業への応募はせず、とにかく話を聞き続ける中で外の世界を知ろうとされたSさん。しかし、そんな状況から本格的に転職を目指して活動を決意されるきっかけがありました。

「前職の中で、MAに伴う大きな組織改編があったんです。その中で、MA後のPMIプロセスにおいて人事の説明不足による労務の業務へのしわ寄せが起こってしまったんです。その時に、自分ができる仕事の幅の狭さと限界を強く感じました。労務だけでなく人事全体のことを担えるような力があれば、起こらない問題だったように感じたんです。そこで改めて【人事労務全体のことを習得できるようになりたい。社員のためになれる力をつけたい。】と思ったんです。」(Sさん)

それまでどちらかというと受け身だったSさんの転職活動は、職場環境の変化から感じた想いにより大きく動き出すことになります。

「人事労務に幅広く携わるために、企業の規模感を落とす必要があると感じていました。大企業ならではの画一的な縦割り組織では、自分の希望は叶えることが難しいと思ったんです。そんな考えもあり、ベンチャー企業に特化したエージェントさんに相談をして転職活動を行いました。」(Sさん)

動き出した転職活動。元々、求人数自体が少ない人事労務のポジションでしたが、幸いにも良いなと思える企業に巡り合うことができ、選考も順調に進んでいったといいます。迎えた最終選考。Sさんは、ここで大きな挫折を経験することになります。

「順調に進んでいるように思えた転職活動でしたが、第一志望の企業の最終選考で落選となってしまいました。後から理由を聞いてみると、他の候補者の方に負けてしまったということだったんです。労務の一部しか経験がない私か、幅広く経験がある方か。どちらが即戦力になれるのかと考えたときに、シンプルに経験の差で負けてしまったとのことでした。この時は本当にショックで、同時に自信も失ってしまいました。本当に人事労務の仕事でいいのか、転職の方向性自体を見直した方がいいとすら感じてしまったんです。自分に何ができて、何がやりたいのか。全くわからない状態になってしまい、大きな不安がありました。」(Sさん)

“経験”という変えようのない現実により味わった、大きな挫折。Sさんは、ご自身の軸や方向性を0から見直さなくてはいけないと感じていました。でも、自分一人でその答えに辿り着けるかわからない。キャリコムにご相談を頂いたのは、そんな時でした。

 

立ち止まり、気づいた想い。

「あるサイトのオファーメールを通じてキャリコムさんからご連絡を頂きました。サイト上では多くのエージェントさんから面談オファーメールが来るんですが、その中でキャリコムさんから頂いたメールは異質な感じがしました。(笑) そんな異質性もあって、なんとなく気になってしまったんですよね。自分自身のキャリアの軸を見つめ直したいと考えていたこともあり、その想いに応えてくれる会社なのではないかという期待感もありました。一方で、本当にやってくれるの?という疑念も正直ありました。他のエージェントさんと同じように求人を紹介するだけなら、すぐに断ろうと思っていたんです。他にもエージェントさんはたくさんいたので。(笑)」

期待と疑念を持ちながらも、とりあえず話を聞いてみるかと臨まれた初の面談。Sさんの期待は、良い意味で裏切られたといいます。

「疑念に感じていたようなことは一切なく、面談を通して【キャリコムさんになら、転職活動を任せたいな】と感じました。自分はどういう人間なのか、何に悩んでいるのか、何を叶えたいのか。想いを掘り下げる時間をしっかりと取っていただき、壁打ちを通じて相互理解を深めることができた感覚が確かにありました。また、私が言語化できなかった内容についても丁寧に拾い上げ、広げてくださいました。悩んでいる私に正面から向き合い、一緒になってキャリア・人生を真剣に考えてくださったことで、信頼できるなと率直に感じていました。」(Sさん)

初の面談を経て、ご自身の想いの整理・キャリアの軸の再構築をキャリコムに任せようと考えてくださったSさん。その後、約2か月間にわたるセッションを通じて内省をされていきます。

「当初は営業なども含めて、本当に0ベースでキャリアを見つめ直そうとしていたんです。でも、最終的に辿り着いた答えは【やっぱり、人事労務の仕事に携わりたい】という想いでした。結果的には当初の想いに戻る形になりましたが、その想いに対する納得感は全く異なるものになっていました。セッションを通じて様々な想いや考えを言語化し、内省したことで自分の中でキャリアの方向性を結論づけることができたことは、大きな自信にも繋がりました。」(Sさん)

立ち止まり、ご自身と向き合い続けたことで気づくことができた変わらない想い。
【何かを提供することで、働きやすや人が持つポテンシャルを引き出せる仕事がしたい】
そしてその想いを、【自分が好きな会社の中で、働く人たちに届けたい】
確固たる想いを胸に、Sさんは挫折を経験した選考の場へと再び挑戦されることになります。

 

自信を持って言葉にできた
自分の想い

キャリコムから紹介された求人は、セッションを通じて深めた相互理解をもとに計6社。うち5社について応募を決め、いよいよ選考がスタートしました。

「紹介された求人に対する違和感はなく、納得して選考に臨むことができました。やはりセッションを通じて、キャリコムさんにも私の想いを知って頂けていたことが良かったんだと思います。5社応募をして、面接に進むことができたのが3社。確率的にはかなり高いのではないかと思います。それも、私の価値観に合った良い求人を紹介してくださったからこそかなと思いますね。」(Sさん)

書類選考を経て迎えた面接。
その中でSさんは、過去の自分との大きな違いを感じられます。

「以前は、これまでに“何をやってきたのか”ということを中心に話をしていました。中途採用という中で、当然経験の部分が必要になることもあると思います。それでも、セッションを経て【なぜ、労務の仕事がしたいのか】ということがきちんと伝えられるようになっていたんです。ここに、挫折したときとの圧倒的な違いがあったと感じています。」(Sさん)

本質的な問いに対しても明確に自分の想いを伝えることができるようになっていたSさん。選考は順調に進み、迎えた最終面接。過去の苦い経験もあり、キャリコムに面接練習を依頼すると同時に、これから携わる可能性のある人事労務の勉強をされるなどご自身ができることも着実に進められたSさん。最終的には、見事2社から内定を獲得されることになりました。

「最終的には2社から内定を頂くことができましたが、どちらの企業に行くかはすごく悩みました。一方は労務全体に携われる企業。もうひとつは研修や労働管理などより広い人事全体に携われる企業。双方とも、前職以上の経験と成長ができることが魅力でしたが、最終的には【人の成長にも携わりたい】という想いから後者を選択しました。また業務内容に加えて、一緒に働く方々の想いの部分も最終的な意思決定の要因となりました。どちらがより自分自身の想いに近いのかという“環境”の面についても考えることができ、納得した良い転職ができたと感じています。」(Sさん)

思い返せば、ファーストキャリアを選択した大学生のときも“環境”と“ご自身の想い”を大切にされていたSさん。社会に出て感じたギャップと、悩みながら働いた日々。転職活動と、経験した大きな挫折。ポジティブな感情にも、ネガティブな感情にもたくさん出会い、辿り着いた原点。Sさんは、新しい一歩を踏み出されることになりました。

 

手段は、世の中に。
想いは、自分の中に。

1年以上に渡る転職活動を終えて、Sさんは何を学び、何を感じられたのか。様々なサービスや人と出会う中で、気づいたことがあるといいます。

「転職活動を通じて、世の中には自分の想いを叶えるための多種多様な手段があることに気づきました。その中で、ひとりひとりに合ったサービスが必ずあると思うんです。同時に、手段があってもそれをどう選択したら良いのか、ひとりではわからないことも多いと思います。なりたい姿があっても、そこに辿り着くまでのプロセスが見えない。そんなとき、自分の想いを支えてくれながら、一緒に伴走してくれる方の存在が必要になるのではないかと思います。自分にとってたったひとつの、大切な想いを見つけるために。」(Sさん)

世の中には、十分すぎるほどの手段・サービスがある。
一方で、自分自身の想いはたったひとつ、自分の中にしかない。

「これまでに悩んだことも、苦労してきたことも、きっと今の私の“糧”になっているんだと思います。」(Sさん)

そう語る眼差しの奥には、ご自身と向き合い選択された道に対するゆるぎない自信と、未来への期待が詰まっているように感じました。

 

 


 

インタビュー/執筆:若林 捷(@waka_sh0 | Instagram)