Wills

それぞれのリアル
to ベンチャー

やりたいことを、諦めない。

VOICE Mさん
住宅メーカー/事務職 ▶ ブランディング会社/人事

INTRO

大学卒業後、大手住宅メーカーの一般職・経理担当としてキャリアをスタートされたMさん。その後、お客様のローン手続きや管理を行う資金担当に従事。定型化された業務が多い中でも、効率化や担当エリアを跨いで企画を自ら発信して行うなど一般職の枠を飛び越えて仕事を行われる。
一方で、一般職という立場の閉塞感や、企業特有の文化とご自身の想いとのギャップに長年悩まれていました。何度か転職を考え行動をされるも、現状の待遇や人間関係、そして周囲の声により前職に留まり仕事をする日々。一歩踏み出そうとしても、立ち止まってしまう。現実と理想の間で揺れ続けた想いは、現在の会社に転職される直前まで続きました。
前職で感じ続けた想い、厳しい現実を突きつけられた転職活動。それでも、ご自身のやりたいことや可能性を諦めることなく、キャリアチェンジを実現されたMさん。伴走させて頂いた1年間のストーリーをご紹介します。

 

働いて気付いた
仕事への想い。

「大学生のときは、自分のキャリアについて特に深く考えてはいませんでした」(Mさん)

ファーストキャリアの選択は、自分が何をしたいかよりも周囲の雰囲気や世間体を気にしたものだったというMさん。なんとなく、大企業に行った方がいいんだろうな。3年くらい働いたら、結婚して仕事を辞めて・・・。そんなごくありふれたイメージを持っていた。
業界はどこでも良かったが、自宅のポストに入る戸建住宅のチラシで間取りを見るのが好きだったことから、住宅メーカーの選考を受けることに。最初に内定をもらったのは、誰もが知る大手住宅メーカー。人事担当の人柄も良く、親御さんも大手企業ということで安心してくれていたことから、そのまま入社を決められます。

「働くことに対する、明確なモチベーションはありませんでした。断る理由もなかったので、そのまま就職をすることに決めました。」(Mさん)

入社後、総務の一般職として経理担当を任されることに。そこでMさんは、入社前には気づかなかったご自身の中の仕事に対する想いに気づきます。

「働いてみたら、自分は仕事が好きなんだということに気づきました。経理担当でルーティン化された業務も多かったんですが、その中でもどうしたらもっと効率化できるのかを考えたりすることが楽しかったんです。自分ががんばってやったことが評価されたり、感謝してもらえる。それでお金も貰えるなんて、仕事っていいなと思ったんですよね(笑)」(Mさん)

なんとなく選択したファーストキャリアの中で、働くことの楽しさややりがいを知ったMさん。しかし、仕事に対する想いに気づいたことで、新たな課題に直面することになります。

 

このままで、人生いいのか?
それでも止まる、最後の一歩。

「入社から1年半経理を担当していたんですが、同じことを繰り返すだけの仕事に、だんだん物足りなさを感じるようになっていたんです。」(Mさん)

大学生のときに抱いていたMさんの仕事に対する想いは、働く中で大きく変化していた。仕事へのモチベーションが上がるにつれて、ルーティン化された業務に退屈さを感じるようになっていきます。そこからMさんは、総務の中でも比較的ルーティン業務が少なく、仕事の自由度が高い資金担当へと異動をすることになります。

「一般職という立場もあり、基本的に言われたことだけを忠実に行っていれば評価される環境ではありました。でも、その一歩先、プラスアルファの提案を行い付加価値を提供することに楽しさを感じていました。そんなことをしている内に、年次も上がり仕事の中でそれなりに裁量も持てるようになっていきました。」(Mさん)

会社から求められる以上のことを自ら行い続けたことで、社内で頼られることも多くなっていく。そんな状況にやりがいを感じながらも、一般職という立場と企業特有の文化の中で、Mさんは違和感を感じ始めていたといいます。

「どんなに仕事をしても、“所詮は一般職なんだから、あんまり前に出過ぎるな”という雰囲気を感じていました。仕事が好きな自分にとって、窮屈だなと感じることが増えていったんです。」(Mさん)

社内では、いわゆるキャリア組の総合職とMさんのような一般職の間に大きな壁・ヒエラルキーが存在していた。もっとやりがいがある仕事がしたい。そう考えても、一般職という立場上、社内での部署異動はできず想いを叶えることはできない。そんな状況から、【どんなにがんばっても、自分自身の可能性をこれ以上広げることはできない】と感じ、やりきれない閉塞感に包まれていたという。そんな状況からMさんは、入社3年目にして転職を考えることになります。

「おぼろげながら【人の人生やキャリアに携われる仕事がしたい】と感じていました。女性で、一般職。営業至上主義の会社の中で、常に男性の3歩後ろを歩くような働き方をしていました。そんな働き方の中で、【本当にこのままで、人生いいのかな。】と感じていました。また、周囲を見渡したときに生き生きと働いている人がいないように見えたんです。そんな自分が働く中で感じた課題に対して、仕事をしてみたいと思っていたんです。」(Mさん)

人の人生やキャリアに携われる仕事がしたい。そんな想いを胸に転職活動を開始したMさん。ウエディングプランナーやコーチング事業などを中心に選考を受けるも、期待していた結果を得ることはできませんでした。しかし、Mさんの中で結果以上に問題だったことがあったといいます。それは、変わったかに思えた仕事を選ぶときの“基準”でした。

「もし内定を貰えていたとしても、転職を決断できていたかはわかりませんでした。まだ大学生のときと同じように、世間体や周囲の声を気にしてしまっていたんです。こんな大きい会社にいるのにもったいない、給料も良くてこんな楽な仕事ないのに。そんな周囲の声が、常に自分の想いにストップをかけていました。」(Mさん)

現状に満足できず、変化をしたいというご自身の想いと相反する周囲の声。仕事を選ぶときの基準を、自分起点で考えることができず、Mさんは会社に留まり続けていました。
“今の環境でも、できることはあるはずだ。”
そう考え、担当エリアを飛び越えて企画を行うなど、仕事の領域を広げることでなんとかやりがいや楽しみを見つけようとされたそうです。

「当時いた環境の中で、自分なりにチャレンジをしてみたんです。様々な企画を行い、楽しいと思える瞬間もありました。それでも、企画がある程度落ち着いてしまうとまた同じ問題に直面します。企業文化もあり、社内には新しいことを主体的に取り組んでいく人も少なかった。結局、どんなに頑張っても本当の意味で自分の想いが実現できることはなかったんです。かといって、最後の一歩を踏み出すこともできない。そんな悶々とした日々の中で、常に仕事をしていました。」(Mさん)

 

仕事以外で満たす
成長への想い

葛藤を抱えながら仕事をする日々。一方で、一緒に働く人たちの人柄の良さや優しさを常に感じていたことから、会社を辞める特別な理由がないようにも思えたそうです。Mさんは次第に、転職することを諦め始めていたといいます。

「総務の一般職での経験が長くなり、現実的に自分が目指す転職は厳しいと感じるようになっていました。そんな状況もあり、少しずつ業務外で自分の想いが満たせる環境を求めるようになっていました。休職して海外留学に行ってみたり、習い事や資格取得をしたりと、とにかくいろいろなことにチャレンジをしていました。」(Mさん)

仕事で満たすことができない【成長したい】という想いと、ご自身の可能性を会社の外に求めるようになったMさん。根本的な解決にはならないと頭ではわかっていながらも、何か動かずにはいられない。そんな中、社内の先輩にとある経営大学院の話を聞いて興味を持たれます。

「私のような想いを持った人におすすめだと、隣の課の先輩に紹介してもらったんです。お試し授業のようなものがあったので、興味本位で参加してみたんですよね。」(Mさん)

そこで見た景色が、知らず知らずのうちに抑えていたMさんの想いを再び動かすことになります。

 

眩しく見えた
生き生きと働く仲間たち

お試し感覚で参加した模擬講義。そこで見たのは、ご自身がいる環境との大きなギャップでした。

「講義の中で、講師から生徒に質問が出されるのですが、参加していた人たちみんなが手を挙げて自分の意見を発表していたんです。主体的に動く生徒の皆さん、互いの意見がフラットに言い合える環境に、衝撃を受けました。同時に、自分がいる環境との違いを明確に感じたのを覚えています。」(Mさん)

常にご自身の可能性を広げる術を探し続けていたMさんは、模擬講義を経て経営大学院への入学を決意。しかし、転職についての決意が固まっていたわけではなかったといいます。

「あくまで海外留学などと同じく、自分の成長のために決めた入学でした。転職について考え始めたのは、卒業を間近に控えたときです(入学から約2年後)。経営大学院の仲間が生き生きと働いている姿を間近で見ていて、すごく眩しく見えましたし羨ましかったんです。それでも、強い決意ができていたわけではありませんでした。一般職で、キャリアもない。年齢のこともある。でも、やはり転職したいなあ。そんな葛藤が、それまでと同じように続いていました。」(Mさん)

沸き上がる想いと、それを止めようとする過去に形成された自分。そんな二つの感情の狭間で揺れ動きながらも、Mさんは再度転職活動へとチャレンジすることになりました。

 

「キャリアチェンジは、難しい。」
提示された現実。

最後に転職活動をしてから、10年以上の月日が流れての再チャレンジ。そこで突きつけられたのは、理解していても厳しい現実だった。

「大手転職サイトに登録を行い、エージェントの方と面談を行いました。ぼんやりとですが、当時コーチングを行っていたこともあり 【人の人生のサポートがしたい】と感じていたんです。その想いをエージェントの方に伝えると ”年齢とこれまでの経験を考えると、キャリアチェンジは難しいですよ。” と言われました。もちろん、難しいことは自分でもわかっていたつもりでした。それでも、自分の想いにそぐわない求人が送られ続けてくるのは、人としてではなく ”商品” として見られているようで辛かったですね。」(Mさん)

難しいことは、自分でもわかっている。それでも、自分自身の可能性を、諦めたくない。厳しい現実に直面しながらも、一歩を踏み出そうとしていたMさん。Mさんとキャリコムが出会ったのは、そんなタイミングでのことでした。

 

なかなか見つからなかった
“想い”が実現できる会社

「知人からの紹介を受けて、キャリコムさんと知り合いました。初回面談では自分が描く今後のキャリアの解像度を上げていくために、キャリコムさん独自のシートを使って【人生で成し遂げたいことは何なのか】についてセッションを行いました。」(Mさん)

【自分は、どういう人生を歩みたいのか。何を大切にして、生きていたいのか。】
できることを、求人票に当て込んでいく。そんなこれまでの転職活動ではなく、【自分はどうしたいのか】という想いを常に起点とし、思考を深めていきます。

「自分の強みはなんなのか、それを言葉で伝えるにはどうすればいいのか。強みを言語化し、大切にしたい価値観の整理をして頂きました。セッションを通じて価値観を棚卸し頂いたのはもちろん、私ひとりにかけてくれる時間の多さに純粋に驚きました。そんな時間を通して、私の人生について本気で寄り添おうとしてくれると感じていました。顧客というよりも、【人】 として私に向き合ってくれているのが伝わって、頼もしさと同時にあったかさのようなものを感じていましたね。」(Mさん)

少しずつ、それでも確実にご自身の想いを見つけられていったMさん。最終的には【人の人生にコーチング的に関わり、生き生きと生きれる大人を増やしたい】という想いを胸に、人事職を目指した転職活動を決断。しかし、いざ求人を探し選考に進もうとすると、やはり現実という壁にぶつかることになられます。

「共有した想いを元に求人をご紹介頂きましたが、なかなか内定まで至りませんでした。難しいのはわかっているつもりでしたが、実際に選考に落ちるのはやっぱり辛かったですね。また、経験や年齢的なこともあり、求人数もかなり限定されていました。選択肢が少ない中で、本当の意味で自分の想いが叶えられそうな求人にも出会えておらず、すごく悩んでいました。」(Mさん)

進むべき方向は見えているのに、歩みだすことができない。ご自身ではどうしようもできない状況の中で、徐々に増していく不安や焦り。しかし、ある一つの企業との出会いがMさんの想いを叶えることになります。

 

想いを、大切に。
巡り合ったひとつの企業

「そんなとき、キャリコムさんから現職の会社を紹介されたんです。市場に出ている公の求人ではなく、キャリコムさんの個人的なつながりからのご紹介でした。ご紹介頂いたときに、ビビッときましたね。初めて、自分の想いと企業の理念が明確に重なっている会社を見つけることができ、ここで働きたいと強く感じました。」(Mさん)

目指していた人事のポジションではなく、これまでの経験が活きるコーポレート領域の担当としての選考ではあった。それでも、実現したい想いは変わらない。自分自身の想いが実現できる会社であると感じ、選考を受けていく。

「面談→コーポレート責任者面接→社長面接という流れでの選考でした。これまで何をしてきたのか、なんで転職をしたいのか、これから何を実現したいのか。志の実現に向けたブランディングの会社ということもあり、自分自身の想いを深く聞かれました。キャリコムさんとのセッションを通じて棚卸してきた経験や自分の価値観、そしてそれらを言語化してきたことが最後に活きてくれました。」(Mさん)

仕事が好きな自分に気づき、変わりたいと願い続けた日々。長い時間をかけてMさんは、実現したい想いに向けて一歩を踏み出す、スタートラインに立たれました。

 

歩むことができる幸せ。

転職後、Mさんは前職での経験を活かして経理部門の立て直しを任されます。同時に、ご自身がやりたいことに対する想いも持ち続けていました。

「採用自体は前職での経験を活かせる経理職でしたが、自分自身が実現したい想いをこの会社でやるためのステップとして捉えていました。まずは自分ができることによって社内の信頼をつかみ、その先にあるやりたいことを実現しようと考えていたんです。」(Mさん)

文化、社内での言語、周囲にいる人たちの意識。全てが異なる環境の中で、楽しいこともつらいことも数えきれないほど経験をしたというMさん。そして入社から1年半後、人事部の立ち上げが社内で決まり、担当者としてアサインされることに。

「自分の想いを伝えていたこともあり、人事部の立ち上げに携わらせていただくことになりました。前職では常に何か新しいことにチャレンジしたいと思っていましたが、実際にやってみるとこんなにも大変なのかと率直に感じましたね(笑) 常に主体性を持ち成長を求められる環境の中で、大変なこともつらいことも本当にたくさん経験しました。でもそれ以上に【前に向かって、歩むことができる幸せ】を感じています。ようやく今、私らしい働き方が実現できているんだなと。想いの実現に向かって立ち止まることなく、一歩ずつ歩めている実感がありますね。」(Mさん)

 

自分を信じる力と
支えてくれる人の存在。

転職後も変わらない想いを持ち続け、ご自身がやりたいことを実現されたMさん。紆余曲折しながらも叶えられた今の幸せに、必要だったこととはなんだったのか。

「“自分を信じる力” だと思います。そのために、本気で自分自身と向き合うことはもちろん 、”人の力を頼る” ということがとても重要だと思います。自分がやりたいことに向き合うときや、選考を受けていくとき。転職活動の中で、心が折れそうになる瞬間がたくさんありました。そんなときでも諦めず踏ん張ることができたのは、仲間やキャリコムさんといった自分の想いを支えてくれる人たちがいたからです。様々なご縁の中で支えてもらいながら、【人生でやりたいと思うことを、絶対にあきらめないでほしい】。今は、そんな風に考えています。」(Mさん)

目の前にある現実。周囲の声。踏み出したときに起こる、決して小さくはない挫折。そんな一つ一つの壁と向き合い、乗り越えたことからこそあるMさんの今。それでも、実現したい想いに向かう歩みはまだ始まったばかりだ。

「ゴールは、たぶんないんです。でも、前にはきっと進めています。」(Mさん)

やりたいことを、諦めない。
そんな想いをMさんはこれから、多くの人に届けていき、志を実現していくのだろう。


 



インタビュー/執筆:若林 捷(@waka_sh0 | Instagram)