Wills

それぞれのリアル
to SaaS営業

“かっこいい父” を目指して。

VOICE Mさん
給湯器メーカー/営業職 ▶ SaaS/営業職

INTRO

海外での原体験をきっかけに、給湯器メーカーをファーストキャリアに選択したMさん。入社後はガス会社、ディベロッパー等をクライアントとした法人営業に従事。大手企業の恵まれた環境でキャリアを歩む一方で、前例踏襲型から抜け切らない企業文化と、ご自身の想いとのギャップに常に悩まれていました。
自分がやりたいことは何だったのか、自分はこのままでいいんだろうか。ご家庭を持ち、お子様が生まれたことをきっかけに強くなる想い。
転職活動の現実に直面しながらも、ご自身の想いと向き合い新たな一歩を踏み出したMさん。【仕事を楽しむ】という理想に辿り着くまでの、苦しくも実りある道程をご紹介します。

 

選択を変えた
憧れの国での原体験

「自分がこれまで当たり前だと思っていたことが、一歩外の世界に出るだけで当たり前でなくなる。実際に体感したからこそ、大きな衝撃を受けました。」(Mさん)

新しいモノが世の中に生み出されるとき、常に関わることができるメーカーに入りたい。そんな思いで、就職活動をされていたMさん。その中でも、商品としてのインパクトの大きさに魅力を感じ、自動車メーカーを志望。無事、海外営業職として内定を掴み取り、Mさんのファーストキャリアは決まったはずでした。しかし、就職活動を終え訪ねたアメリカの友人宅での経験が、Mさんのファーストキャリアを大きく変えることになります。

「就職活動が終わり、アメリカの友人宅に2か月ほど遊びに行く機会ができました。アメリカは、小学校からバスケをしていたこともあり憧れの国でした。就職活動も無事終わっていたので、楽しみしかなかったんです。」(Mさん)

そんな憧れの国で、何が起こったのか。

「滞在中は友人の家にお世話になったのですが、入浴中にシャワーからお湯が出ないことがしばしばあったんです。よく聞く話かもしれませんが、自分にとってはすごく大きな体験でした。自分が生きてきた中で形成された当たり前は、外に出たら全く異なるものになるんだと。同時に、日本の当たり前水準の高さを知ることになりました。」(Mさん)

憧れの国で感じたご自身の想いを、Mさんは行動へと移されます。アメリカら帰国後、就職活動を再開。選考を受けたのは、まさに原体験で魅力を感じた給湯器メーカー。無事内定を掴み取り、Mさんのファーストキャリアは決まりました。

 

理想と現実の狭間で揺れた
ファーストキャリア

原体験から生まれた思いを元に、キャリアを選ぶ。そんな理想的な形で社会人としての歩みをスタートさせたMさん。入社後はディベロッパーやガス事業者などをクライアントに、法人営業としてキャリアを歩まれます。しかし、ここでご自身の想いと企業文化のギャップに苦しんだといいます。

「前職での仕事は、あまりうまくいったとは言えませんでした。自分が描く理想と、会社から求められる現実のギャップに苦しみましたね。歴史ある大手企業・レガシー産業という環境に対して、新しいことに挑戦したいという自分の想いをアジャストしきることができませんでした。 【これが、やりたかったことなのか?】という気持ちが日に日に募っていったことを覚えています。そんな想いから、反抗期のような時期でもありましたね(笑)」(Mさん)

想いや意志があるからこそ生まれてしまう摩擦。そんな状況から抜け出すため、Mさんは行動を起こします。

 

立ち止まり、思い返した
会社に入った意味

会社で感じることができなかった自分自身の価値を証明したかったのかもしれない。Mさんは入社3年目にしてはじめての転職活動に挑まれます。選考を受けたのは、総合電機メーカー。“日本の当たり前を、世界に届けたい” という変わらない想いに対して、より多くのプロダクトに関わり貢献したいと考えてのことでした。結果は、誰もが知るような大手企業から複数の内定を獲得。しかし、結果的にMさんはこのタイミングでは転職の意思決定をしませんでした。

「転職活動自体はうまくいったんですが、一度立ち止まって 【自分はなんのために今の会社に入ったのか】ということを考え直しました。入社を決めたときの想いはもちろん、大きな成果も出せていませんでした。海外での勤務も、当時在籍していた企業の方が早く実現できそうでした。結局、”まだ、今の会社できること・やるべきことがある“ と思い、留まることにしたんです。」(Mさん)

転職活動を行い、成功を収めながら現職に留まることを選択されたMさん。その後、再び転職を考えられるまで約10年の時間が空くことになります。

「その10年間は、自分がやりたいことがわからなくなり迷走していた時期でした。立ち止まっているだけは嫌だったので、自分のスキルを高めるために何かしらやらなくてはと常に焦っていました。実際、会計の専門学校に行って資格を取ったりもしましたね。ただ、それが本業で活きるかというとそういうわけでもない。具体的なゴールが無いのに、やみくもに動いているだけの状態でした。」(Mさん)

現職に留まるという意思決定をされてからも、変わらず続く悶々とした日々。そんな中で、10年という月日が流れていきました。“このまま、今の会社で働き続けるのかもしれない。” そんなことが頭に浮かんでいたMさんを再び動かしたのは、家族を持ち、父になったことにより生まれた、ある【想い】でした。

 

自信を持てなかった
”父”としての自分。

前職での経験も10年を越え、Mさんは結婚・お子様の誕生という2つの大きなライフイベントを迎えていました。

「結婚はもちろんですが、子供が生まれたことが自分の中では大きかったと感じています。改めて、自分自身のキャリアについて深く考えるようになっていきましたね。子供が見ている父としての自分は、どう映っているのか。かっこいい、理想の父親でいれているのか。その自信が持てずにいることが、すごく悔しかったんです」(Mさん)

Mさんは、【かっこいい父であること】 と 【キャリアが充実していること】を同義として考えていました。どんな働き方ができれば、かっこいい父でいられるのか。現状にギャップを感じていたからこそ、ぼんやりと見えていることがあったそうです。

「業務を通じて中小企業の社長と会う機会が多くある中で、自社が持つプロダクトだけではクライアントの直接的な売上に貢献できないと感じていました。そこで、クライアントに対して自分なりに簡単なコンサルティングみたいなことをしてみたんです。そうしたら、取り組みによって売上がUPして、それまでの仕事以上にクライアントから感謝して頂いたんですよね。なかなかうまくいかなかったキャリアの中で、やりがいと喜びを感じることができた瞬間でした。」(Mさん)

それ以降、コンサルティングや経営について自分なりに勉強をするようになったMさん。学びの中で感じたのは、コンサルティングという仕事の魅力でした。自分自身のアイデアや考えで、困っている人を助けることができる。そんな働き方ができたら、かっこいい父になれるのではないか。こうしてMさんは、2度目の転職活動を決意されます。

 

過去の成功体験が感じさせた、現状の厳しさ

2度目の転職活動。過去の転職活動で内定した実績もあり、少なからず自信を持っての再スタートでした。

「いわいる大手エージェントを一通り登録し転職活動を始めました。コンサルティング業界の希望を伝えた上で、ディベロッパー等の他業界も含めてたくさんの求人を紹介してもらいました。でも、全くうまくいかなかったですね。面接まで行っても、自分の考えをうまく伝えられない。本当の意味で、自分のやりたいことが明確に言語化できていなかったんだと思います。選考がうまくいかない日々に、気持ちもかなり落ちていました。でも、何がダメなのか明確な原因がわかるわけでもなく、本当に悩んでいました。年齢のこともあり、焦りもかなりありましたね」(Mさん)

転職活動を始めて、気づけば半年が経過していた。Mさんにキャリコムから連絡が届いたのは、そんなタイミングだったそうです。

 

長期の転職活動で気づいた、
求人探しよりも大切なこと

「大手エージェントを利用したときに、少し機械的な印象を持っていたんです。たくさんの求人が一斉に送られてくるんですが、自分の考えが本当に反映されているのか不安を感じていました。そんなタイミングでキャリコムさんから連絡を頂き、他のエージェントさんも含めて新たに相談をし始めました。エージェントの幅を広げれば、選択肢も増えていくのではないかという期待もありました。」(Mさん)

転職活動が思うように進まない中で、少しでも可能性を上げていきたい。そんな思いから、名前すら初めて聞いたキャリコムにも相談をしてみることにしたMさん。

「転職活動が思うように進まず精神的に落ちていたこともあって、初回面談のときに “どうして僕に連絡をくれたんですか?” とキャリコムさんに聞いたんです(笑) 人材業界は転職をさせてなんぼの世界、というイメージがあった中で “こんな自分に連絡をくれても・・・” という卑屈な思いがありました。」(Mさん)

そこでのキャリコムの回答が、Mさんの心に残ったという。

「当時、転職後の希望年収を現状より下げる形で登録をしていました。もちろん、収入を維持・UPできるに越したことはないんですが、それ以上に【キャリアを変えてでも、自分のやりたいことにチャレンジしたい】と思っていたんです。そんな私の想いを感じて連絡をしたと、キャリコムさんは言われたんです。【ポジティブな感情がある人に対して、サポートをしたいんです。】、そんな言葉をかけられたときに、それまでのエージェントとの明確な違いを感じました。変わっている会社だな、とも思いましたけどね(笑)」(Mさん)

そうしたご縁の中で、Mさんとキャリコムは共に転職活動を進めていくことに。しかし、この段階ではまだ複数のエージェントに同時並行で相談をしていたといいます。

「年齢的な焦りもあり、とにかくたくさんの選考を受けなくてはと考えていました。なので、キャリコムさんにもとりあえず求人をくださいとお願いをしました。あくまで目的は、大手エージェントが紹介してくれない求人をもらい、選択肢を広げるということにありました。」(Mさん)

Mさんは希望通り、キャリコムを含む複数のエージェントから新しい求人の紹介を受けます。しかし、結果はこれまで同様厳しいものになりました。

「ここで初めて、【求人を紹介してもらうことよりも大事なことがあるのではないか】と感じるようになりました。キャリコムさんからのご提案もあり、まずは自分自身のやりたいことを見つめ直し、明確に言語化できるようにすることを決めました。」(Mさん)

ここから始まったMさんとキャリコムのセッションは、ご家庭の事情で期間が空いてしまったことや、前職での業務量の多さもあり約1年間に及びました。転職活動が長期化したことで、当初相談をしていたエージェントもいつの間にかいなくなっていたそうです。

「自分の都合でなかなか転職活動ができない状況の中でも、キャリコムさんは常にサポートし続けてくれました。私の想いや可能性を、私以上に信じてくれていたように感じます。普通なら、求職者である私を動かすために少しおだてたりすることもあると思うんです。良い求人がありますよ、これなら受かります、選考を受けましょうよ、といった感じで。でも、キャリコムさんは良くも悪くも全てを正直に伝えてくれました。そして何よりも【まずは、やりたいことをちゃんと明確にしましょう】というスタンスを常に提示し続けてくれました。私が大切にしたい価値観を見つけるために、潜在的な想いを常に引き出そうとしてくれたことで、心から信頼できると感じるようになっていました。」(Mさん)

長期間に渡りながらも、ご自身の想いと向き合い続けたことでMさんの転職活動は少しずつ、着実に前に進んでいました。

 

誰の、どんな課題を
どう解決したいのか。

そうしてMさんは、セッションを通じてご自身の中にある【中小企業で働く人たちへの想い】を見つけられます。

「営業活動で地場のリフォーム店や工務店に訪問をする機会が多かったこともあり、世の中には圧倒的に中小企業が多いことを肌で知りました。また、そこで働いている人たちが日頃の雑務に追われて本当にやりたい仕事に取り組めていない現状も見ていました。自分が働く大企業よりも、中小企業で働く人たちはずっと多くの悩みや課題を抱えながら仕事をしているんだなと感じていましたね。」(Mさん)

また、ご自身の生い立ちにも目を向けることで、想いが少しずつ形となっていきます。

「父が中小企業の代表をしていたのですが、幼い時から大変そうにしているのを間近で見ていました。毎日帰りも遅いし、土日も仕事ということも多くありました。なんで遊んでくれないんだろうと思ったこともあります。それが、自分が仕事をしてクライアントと向き合うことで “そういうことだったのか” と初めてわかりましたね。」(Mさん)

自分はこれまでどう生きてきたのか。仕事をする中で感じたことはなんだったのか。
ご自身の【想い】と向き合うことで、徐々に本当にやりたいことが見えてくるようになりました。

【中小企業で働く人たちの時間的な課題に対して、日頃やらなくてはならない雑務を減らすことで支援したい】。これが、最終的な私の想いになりました。」(Mさん)

 

仕事って、楽しいんだ。
踏み出した、確かな一歩。

本当にやりたいことが、自分の中でようやく言語化できた。そこからMさんはSaaS系の営業職を目指し、選考を受けていきます。

「自分自身の想いが明確に言語化できるようになったことで、選考も少しずつ通るようになっていきました。一方で、業界・職種が大きく変わる転職だったので給与面など厳しい現実にも直面しました。それでも、最終的には第一志望だった企業から内定を頂くことができました。巡り合わせやタイミングもあったと思いますが、やりたいことに向き合い続けたことが最後に実ったのかなと感じています。」(Mさん)

現在(2023年6月)、Mさんは転職をして約3ヶ月になる。

「自分がやりたいことが、これから実現できると強く感じています。また、転職した企業は働く環境としても自分の価値観に凄く合っていると感じています。それはやはり、自分自身の想いと正面から向き合い、それをエージェントであるキャリコムさんと明確に共有できたからだと思います。長い転職活動になりましたが、最終的には自分にとって一番良い企業さんを紹介して頂いたと、心から感じています。」(Mさん)

企業文化に馴染むことができなかった前職時代。見えないゴールに向かってがむしゃらに動いた日々。そんな時間を経てMさんは今、やりたいことを仕事にしながら自分が輝ける環境で充実した毎日を過ごされている。
【自分がやりたいことを、好きな会社でする。】 そんな働き方を、Mさんは見つけられました。

「自分がやりたいと思う仕事、それができる会社って、世の中にあるんですね。」(Mさん)

そう笑うMさんはこれから先、ご自身が目指される【かっこいい父】であり続けていくのだと思います。

 

 



インタビュー/執筆:若林 捷(@waka_sh0 | Instagram)